【種類別ルール解説】さまようものでも分かる謙虚とオパール色の輝きの処理
目次
はじめに
「《謙虚》と《オパール色の輝き》が並ぶとどうなるか?」という問いにその場で答えられるプレイヤーはどれほどいるでしょうか。特に統率者戦はカジュアルフォーマットで、ジャッジがいない環境でプレイされることがほとんどです。4人で卓を囲んでいて似たようなルールの取り扱いに困った経験はあるプレイヤーは少なくないのではないでしょうか。(例えば《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》と《血染めの月》、《激しい叱責》と《幻影の像》など)
この記事では《謙虚》と《オパール色の輝き》の問題を解決する「種類別」ルールについて、《さまようもの》でも分かるようにわかりやすく解説することを目指します。すべて暗記しようとすると覚えることが多いので、実用的に不便のないレベルでの理解を目標とします。
種類別ルール概要
「種類別」ルールは継続的効果を効果の種類によって7種類に分類分けして、第1種から第7種の順番に適用するルールです。分類の一覧は以下です。
- 第1種: コピー可能な値の変更
- 第1a種:コピー可能な効果の適用
- 第1b種:裏向きの呪文やパーマネントの特性の適用
- 第2種: コントロールの変更
- 第3種: 文章変更
- 第4種: タイプ(カード・タイプ、サブタイプ、特殊タイプ)変更
- 第5種: 色変更
- 第6種: 能力の追加や除去、能力を持つこと自体の禁止
- 第7種: パワー・タフネス変更効果
- 第7a種: パワーやタフネスを定義(特性定義能力)
- 第7b種: パワーやタフネスを特定の値にする
- 第7c種: パワーやタフネスを修整する(カウンターを含む)
- 第7d種: クリーチャーのパワーとタフネスを入れ替える
暗記しようと思うと一苦労ですが、プレイしていく上では順番がどうなっていても、能力が喧嘩し合わなければ順番を意識することないはずです。
例)《ダークスティールの突然変異》がエンチャントされたクリーチャーに《激励》を唱えたら、適用される順番はわかっていなくても最終的には4/5の破壊不能クリーチャーになるのは直感的に分かるから、特に困らない。
そこで、今回は実用性重視の4つのケースを解説します。
- 同じ特性を複数の効果が変更しようとするケース
- 詳細ケース:能力同士に依存関係がある
- 効果を適用している途中で能力を失うケース
- 詳細ケース:能力を失うが、効果は適用できる…とは
同じ特性を複数の効果が変更しようとするケース
同じ特性を複数の効果が変更しようとするとは、例えば《ダークスティールの突然変異》と《木化》の両方がエンチャントされたクリーチャーは、0/1なのかそれとも0/4なのかということです。
基本的に特性を同じように変更する効果は同じ種類別(今回のパワー・タフネスを固定の値にする能力は第7b種)です。種類別は1→7の順に適用しますが、同じ種類別の効果同士はタイムスタンプが若い順に適用(後勝ち)します。そのため今回の例であれば、後に出てきた方のエンチャントが指定しているパワー・タフネスになります。ただし、これには次の例外があります。
詳細ケース:能力同士に依存関係がある
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》と《血染めの月》を例に考えます。《血染めの月》はすべての基本でない土地を山にする能力を持ち、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》は土地のタイプに沼を追加する能力を持ちます。これらは同じ種類別(第4種)に分類される能力です。
これらが場に並んだ時には、一見タイムスタンプによって以下の2パターンに分かれそうですが、正しい処理としては常にパターン2になります。
- すべての基本でない土地は山であり、沼でもある。
- すべての基本でない土地は山である。
これは《血染めの月》の能力を適用すると《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の能力が失われる(依存している)ためで、こういったケースでは独立している側(《血染めの月》)の能力を先に適用します。
(補足:「依存」の定義は能力を失わせる以外にも、なんらかの影響を与える場合の多くに該当します。)
効果を適用している途中で能力を失うケース
《謙虚》と《オパール色の輝き》を例に考えます。最大の問題は、《謙虚》がクリーチャーになってしまうと自分の効果で《謙虚》自身の能力を失ってしまい、1/1になる効果を失うのかどうかがよくわからない点です。
結論、1/1になる効果は有効です。そのため、上記の「同じ特性を複数の効果が変更しようとするケース」に従い以下が結論です。
- 《謙虚》のタイムスタンプが先の場合:《謙虚》は4/4のクリーチャーになる
- 《オパール色の輝き》のタイムスタンプが先の場合:《謙虚》は1/1のクリーチャーになる
肝心の効果を失わない理由は複数の効果を持つ能力は、そのうちの1つでも効果を適用したら残りの効果を全部適用するというルールがあるためです。(613.6)今回の場合、《謙虚》の能力はクリーチャーの能力を失わせる効果と1/1にする効果の2つの効果を持つため、その全部を適用することができます。
つまり、「能力を失う」効果で実質的に失われない能力もあるということになります。ややこしいので詳細をまとめます。
詳細ケース:能力を失うが、効果は適用できる…とは
実質的に能力を失わないパターンは2種類あります。
パターン1. 第6種より前の種類別の効果は適用できる
継続的効果は1から7の順番に適用されるため、能力を失わせる効果が分類される第6種より前に分類される効果は常に適用可能です。覚えやすく、パワーやタフネスと能力の変更に関する効果以外の継続的効果は適用できる、とざっくり覚えておくと実用的なはずです。
例)《絵描きの召使い》の色を加える能力(第5種)は《謙虚》や《激しい叱責》が存在しても適用される(なお戦場に出る際に色を指定する能力は失う)
パターン2. 第6種より前の種類別と能力がセットである効果は適用できる
複数の効果を持つ能力は、そのうちの1つでも効果を適用したら残りの効果を全部適用するというルールです。つまりパターン1の効果とセットなら、第6種や第7種の効果も適用できます。
例)自身の能力でクリーチャー化した《墨蛾の生息地》は《謙虚》や《激しい叱責》があっても飛行と感染を持つ1/1のアーティファクト・クリーチャー・土地である(飛行と感染を持つ効果は第6種だが、クリーチャー化は第4種の効果で、すべて1つの能力であるためすべて適用できる)
まとめ
以上です。わかりやすさ重視で、詳細なルール説明は省いた内容ですのでご了承ください。この記事を通じて、プレイヤーが統率者戦をよりスムーズに遊べるようになれば嬉しいです。
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