3,571円でブン回る厚顔の無法者、マグダEDH
目次
はじめに
今回はEDH安価構築の第四弾です。 MTG界隈で叫ばれている「マジック高すぎ」問題。実際、他のタイトルでは1000円や500円で完成度の高い構築済みデッキを販売している中で、統率者戦の構築済みデッキはだいたい5000円・・・。
そもそも、ある程度パワーレベルを求めると構築済みのカードはほとんど入らないなんてこともザラです。
(参考)予算7000円で構築済みのカスタマイズ試みたけど、抜けるカードが多すぎて一から組んだ方が安くなってしまった例
「構築済みよりも安く完成度が高いデッキ」をコンセプトに 過去最安の予算3000円台で限りなく完成度を追求したEDHの構築を紹介します。 デッキパワーレベルは6ですが、キルターンが早くムーブが安定しているためレベル7-8帯とも引けをとらない構築です。
統率者紹介
今回の統率者は《厚顔の無法者、マグダ》です。
マグダは2マナ2/1のドワーフ・狂戦士で、ドワーフに対するロード効果と、ドワーフがタップするたびに宝物トークンをアンタップ状態で生成する誘発型能力、宝物5つをコストにアーティファクトかドラゴンをリクルートする起動型能力を持つ、赤単の中でも屈指の強力な能力を持つ統率者です。
なぜマグダなのか
理由1. ドワーフカードが安い
《厚顔の無法者、マグダ》 はデザイン的に軽量のドワーフを多く採用することで宝物トークンの大量生成、それをコストにした強力なパーマネントへのアクセスが実現するため、デッキの多くの枠をドワーフカードが占めます。
これが今回のシビアな安価構築のキーとなる要素で、一般的な統率者だとどうしても値の張る汎用的なカードが占める割合が大きくなってしまいますが、マグダは統率者とのシナジーのおかげで、普通は使われないようなやっすいドワーフに多く枠を割くことに合理的な理由が生まれるからです。
理由2. 単色だから
これはシンプルに、2色以上の特殊地形を買う必要がなくなるからです。 安価構築の単色統率者のデメリットとして、カードプールが狭まることで安くて強いコスパに優れるカードが減る点が挙げられますが、今回は構築が特殊なため気になりません。
デッキリスト
構築したデッキリストはこちらです。moxfield様でも公開しています。
https://www.moxfield.com/decks/GoD53lDzG0-srsOHYs7BGA
《厚顔の無法者、マグダ》
— クリーチャー 31 —
《沸血のドワーフ》
《Dwarven Armorer》
《ドワーフの兵卒》
《焼き焦がすドワーフ》
《Dwarven Trader》
《捕らわれのドワーフ》
《開放されたドワーフ》
《火花魔道士》
《自在自動機械》
《アクスガルドの騎兵》
《ドワーフの爆風掘り》
《ドワーフ鉱夫》
《財宝使い、マグダ》
《玄室荒らし》
《三本木のマスコット》
《犯罪小説家》
《血たぎるドワーフ》
《ドワーフ徴募兵》
《燦光洞のギムリ》
《ドワーフの特使、グローイン》
《格納庫のたかり屋》
《略取するバーバリアン》
《顔壊しのプロ》
《猿人の指導霊》
《ゾーン》
《順応する自動機械》
《樹皮形態の収穫者》
《乱打されるゴーレム》
《血統詐称者》
《変幻の機械》
《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》
— ソーサリー 4 —
《信仰無き物あさり》
《一攫千金》
《引き離しの噴火》
《喪失の光景》
— インスタント 15 —
《大規模な列車強盗》
《稲妻》
《似姿焼き》
《削剥》
《しっぺ返し》
《突然のショック》
《間の悪い故障》
《魔法暴走》
《ゾヨワの裁き》
《混沌のねじれ》
《重複の閃光》
《雷音》
《跳ね返りの罠》
《かき立てる炎》
《ボトルキャップの炸裂》
— アーティファクト 21 —
《Clown Car》
《アシュノッドの人体改造器》
《不死の霊薬》
《太陽の指輪》
《魂標ランタン》
《バネ葉の太鼓》
《秘儀の印鑑》
《毛皮運送》
《飛車輪の競争車》
《高速ホバーバイク》
《液鋼の首飾り》
《移動式住居》
《勢団の銀行破り》
《速足のブーツ》
《呪われた鏡》
《暴走トロッコ》
《彫り込み鋼》
《貯めこむ運び屋》
《前兆の時計》
《仮面林の結節点》
《イシュ・サーの背骨》
— 土地 28 —
《ドワーフの鉱山》
《神託者の広間》
《抵抗者の居住地》
《山》23
《オパールの宮殿》
《生存者の野営地》
デッキの値段は3,571円です。(国内相場、2024年11月14日現在)
デッキ解説
今回のデッキは軽量かつ強力なコンボ性能を持つ《厚顔の無法者、マグダ》を軸としたターボコンボデッキです。特に妨害がなければキルターンは4ターン程度(2ターン目マグダ、3ターン目に宝物を貯めて、4ターン目にコンボ成立くらいのテンポ感)で、このレベル帯(あるいは価格帯)のデッキとしてはかなり高速な部類です。また、単なるターボコンボデッキと異なり、マグダのリクルート能力による予想外のアーティファクトによる妨害や、ロード能力を活かしてライフ圧もかけられるなど、単色デッキとしては異質な器用さも発揮します。
主要なカード紹介
ドワーフカード
基本的にはドワーフカードで一番重要なのは軽いことです。赤単で採用可能なドワーフは全51枚とカードプールは広くありません。そのため、《Dwarven Trader》のような1マナバニラドワーフすら採用圏です。これでもマグダがいれば《敏捷なこそ泥、ラガバン》に比肩するパフォーマンスを誇ります。
直接ドワーフを持つカード以外に、多相を持つカードも同様にドワーフとして機能するため多く採用します。詳細は後述しますが、特にアーティファクトクリーチャーのドワーフは強力なコンボパーツとして機能するため《自在自動機械》などは非常に重要です。
基本的にはドワーフがアタックすることでマグダの能力の誘発を狙いますが、それ以外にも《極楽のマントル》などの外部のタップ手段を組み合わせれば召喚酔いに縛られることなく宝物トークンを生成することが可能です。
タップ手段
タップ手段として一番メジャーなのは《高速ホバーバイク》などの搭乗を持つカード群です。搭乗XはX以上のパワーにさえなれば何体でもクリーチャーをタップできる上に、クリーチャー化した状態になっても起動できるため同じターンに何度でも起動可能なタップ手段として機能するため非常に相性が良いです。
ドワーフでアタックするのではなくタップ手段を用意する理由は大きく2つあり、1つ目は召喚酔いを避けるため、2つ目はドワーフの戦闘破壊を防ぐためです。特に2つ目については、軽量ドワーフが中心なため、大半のスタッツが非常に貧弱であり、殴り先がいない状況が生まれやすいためなんらかの対策が必須です。
上記の理由のため、搭乗カード以外にもこまごまとしたタップ手段があると重宝します。今回採用しているカードで言えば、具体的には《抵抗者の居住地》や《バネ葉の太鼓》などです。
マグダによるリクルート先
マグダのリクルート能力が対応しているのはアーティファクトとドラゴンです。多くの選択肢がありますが、抜きん出て強力な選択肢として《前兆の時計》があります。《前兆の時計》はタップ手段とアンタップ手段の両方を兼ね備えた能力であり、宝物トークンが起動コストとして機能するため、《自在自動機械》などのアーティファクトのドワーフと組み合わせるだけで無限タップ宝物トークン(=無限アーティファクト・ドラゴンのリクルート)が成立します。(補足:《自在自動機械》と宝物トークンをタップして《自在自動機械》をアンタップ、マグダ誘発で宝物が1つ生成されることでループが成立)
このため、勝ちに行くタイミングではまず《前兆の時計》が選択肢になります。
それ以外の選択肢は主にドローエンジンや妨害手段になります。《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》や《勢団の銀行破り》がドローエンジンとして、《イシュ・サーの背骨》や《魂標ランタン》などが妨害手段として機能します。状況に応じて使い分けましょう。本来なら《ファイレクシアへの門》あたりが無難に強力なんですが、1枚で今回のデッキと同じくらいの値段なため採用は見送っています。
コンボ・ギミック紹介
マグダ+《前兆の時計》+アーティファクトのドワーフ
前述した無限タップ宝物のコンボです。アーティファクトのドワーフ自体もマグダの能力でリクルートできるため、《厚顔の無法者、マグダ》+宝物10枚スタートでも成立する強力なコンボです。
コンボ成立後の勝ちまでのルートはマグダの能力で色々なカードを出してフィニッシュします。《乱打されるゴーレム》を経由して有色無限マナ、《魂標ランタン》と《不死の霊薬》で無限ドロー無限ライブラリー修復、《稲妻》を《不死の霊薬》でリキャストし続けて無限バーンなど。
マグダ+《乱打されるゴーレム》+《仮面林の結節点》+タップ手段
《仮面林の結節点》で《乱打されるゴーレム》をドワーフ化し、搭乗などの繰り返し使えるタップ手段で《乱打されるゴーレム》を寝かせると自分がタップしたことで生成される宝物トークンでアンタップするため、無限宝物トークン・無限マナが成立します。
アーティファクト化ギミック
上記のようにアーティファクトのドワーフが非常に重要なため、ドワーフをアーティファクト化するギミックが複数仕込まれています。例として《アシュノッドの人体改造器》、《液鋼の首飾り》など。
個別カード紹介
血たぎるドワーフ
《血たぎるドワーフ》はドワーフをタップする能力を持ったドワーフという夢のようなクリーチャーです。トリプルシンボルでコストは重いですが、イメージ的には搭乗内蔵ドワーフみたいなものなのでコスパは良好です。また+2/+0のパンプアップは小粒なドワーフの打点をまとめ上げられるため、状況によってはゲームを動かす力を持ちます。
重複の閃光
3500円構築でまさかの強力なピッチスペルです。《重複の閃光》は一般的なデッキではコストが重く扱いづらいですが、単色かつ軽量のドワーフが多く入ったマグダEDHでは十分使いこなせる1枚で、効果自体はインスタントやソーサリーのコピーと非常に強力です。打ち消し呪文をコピーしてカウンターしたり、サーチ呪文をコピーしてキーカードを引っ張ってきたりと色々応用が効きます。
ボトルキャップの炸裂
《ボトルキャップの炸裂》は即席持ちの5点バーン呪文で、過剰打点が宝物になります。タフ1のクリーチャーに当てれば4つの宝物をインスタントタイミングで生成できるため、マグダのリクルート能力で奇襲を仕掛けることが可能です。(マグダの無限コンボはインスタントタイミングで勝利することができるのも好相性です)
また、即席も特に能力を持たないアーティファクトドワーフや機体をコストに使えるため5マナという重さを意識せず使いやすいです。
Clown Car
《Clown Car》は唯一の0マナで設置できる繰り返しタップできる手段です。他のタップ手段と比較して圧倒的に軽く非常に優秀です。
予算を引き上げて改良するなら
3000円台という厳しすぎる予算の都合で、数百円程度で超強力なカードや上位互換があっても採用されていないカードが結構あります。ぜひ拡張してあげてください。特に搭乗カードはかなりしょぼいカードも採用しているので、入れ替えたい欲が強いです。
例:《密輸人の回転翼機》、《金属ミミック》、《先祖の鏡》
他にも、デッキスピードを上げられるマナ加速手段はかなりあります。これらは1マナドワーフが引けなくても、1ターン目からマグダを置きに行けるのでムーブも安定します。ただ、全体的にかなり高額ではあります。
例:《オパールのモックス》、《水蓮の花びら》
土地基盤に関しては今回は予算都合でほとんど山ですが、強力な特殊地形が数多くあります。なかでも《変わり谷》はクリーチャー化した後にマナを出すだけで宝物トークンが生成できるので、かなり印象的な性能です。
また、マグダからリクルートするカードは色々と好みで入れ替えて使ってみたいところです。《ファイレクシアへの門》などシンプルに強力なカードはもちろん、《山背骨のドラゴン》や《記憶の壺》などの莫大なアドバンテージを獲得できるカードも面白いです。
まとめ
正直3500円で4キル安定構築が組めるとは思っておらず、改めてマグダの統率者としてのポテンシャルを感じる結果になりました。また、同様に単色&専用カード多数採用型の統率者であれば、似たような考え方で安くて完成度の高い構築を組めそうだなとも思いました。
一方で、実際上記のデッキを通販で揃えようとすると5つ以上のショップを梯子することになる(それくらい在庫がシビア)ので、送料や注文の手間など、実際に初心者が買うには大変な作業だなとも感じました。
今回の記事を通じて、統率者戦って安く組んでも結構楽しめそうなフォーマットだなと、感じていただけたら嬉しいです。
記事の更新情報はEDH.JPのX(Twitter)で投稿しています。ぜひフォローしてください。