【統率者戦】7000円でちゃんと回る超安価構築 その2(ティヴィットEDH)
目次
概要
先日公開した7000円でちゃんと回る統率者デッキを考察した記事(以下)では、結論7000円ちょっとでデッキパワーレベル6ほどのデッキを構築することができました。一般的にMTGはお金のかかるカードゲームというイメージがある中、低予算でしっかりとデッキを構築することができることがわかったのは大きな収穫でした。こうした取り組みが少しでもゲームへの参入障壁を引き下げ、新規プレイヤーが増えることに貢献できたら嬉しいです。
今回は超安価構築の第二弾ということで、前回と異なる色、アーキタイプのデッキを紹介します。高価なイメージがある青黒含みの3色統率者でも統率者のスペックが高ければ安価でもなんとかなるのでは、という仮説の下でデッキを構築しました。
デッキ紹介
構築のベースとして使える構築済みデッキ
今回紹介するリストは構築済みデッキ『ニューカペナの街角』統率者デッキ「常夜会一家の活動」をベースにカスタマイズして構築することもできます。構築済みデッキの中で実際に採用するカードは基本土地を除くと10枚そこそこですが、2024年3月18日現在でもオンラインストア等で定価割れの4000円弱で購入することができるため、試しに統率者戦を遊んでみたり、少しずつカードを揃えていくスタイルであれば選択肢になります。
なお、今回紹介するデッキのカードをまとめて集める場合はすべてのカードをシングルで購入した方が安上がりです。
統率者紹介
上記の構築済みデッキには顔となる2体の統率者候補の伝説のクリーチャーが存在しますが、今回は《秘密売り、ティヴィット》を統率者として採用します。
《秘密売り、ティヴィット》は現在統率者戦の中でも指折りの強力な統率者です。エスパーカラー(白青黒)で6マナ6/6飛行護法3という基本スペックに加え、戦場に出た時とサボタージュ能力(プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時に誘発する能力)に投票を行い、手がかりか宝物トークンを合計5個生成する誘発型能力を持ちます。生成されるトークンは投票結果に依存するものの、自身が2回投票できるため必要な方のトークンを最低2つは生成できる点が非常に強力です。
大型級のサイズに除去耐性とマナとドローを兼ね備えた強力な誘発型能力を持つ統率者ですが、《秘密売り、ティヴィット》を強力な統率者たらしめているのは《時の篩》との2枚コンボの存在が大きいです。
《時の篩》はアーティファクト5つをコストにエクストラターンを得る派手な起動型能力を持つアーティファクトです。《秘密売り、ティヴィット》の能力は実質毎ターンアーティファクトトークンを5つ生成する能力であるため、《時の篩》と《秘密売り、ティヴィット》が揃った時点で、《秘密売り、ティヴィット》が毎ターン戦闘ダメージを与えられる限り何度でもエクストラターンを追加できるようになります。幸い《時の篩》はお手頃な価格帯のカードであるため、今回紹介するデッキもこの《時の篩》コンボを軸として構築します。
デッキリスト
構築したデッキリストはこちらです。moxfield様でも公開しています。
https://www.moxfield.com/decks/Ls1k_udR4kKXVWgHwXWFlQ
《秘密売り、ティヴィット》
— クリーチャー 11 —
《雨ざらしの旅人》
《ブラッド・ペット》
《オズワルド・フィドルベンダー》
《幽体のこそ泥》
《心悪しき隠遁者》
《堕落した庄察頭、ロソ》
《捧げ物の魔道士》
《粗石の魔道士》
《アウグスティン四世大判事》
《概念泥棒》
《慈愛の王、タリオン》
— ソーサリー 6 —
《作り直し》
《滅ぼし》
《セヴィンの再利用》
《加工》
《苦い真理》
《衰滅》
— インスタント 23 —
《冥途灯りの行進》
《流刑への道》
《剣を鍬に》
《断れない提案》
《払拭》
《渦巻く霧の行進》
《唱え損ね》
《洗い落とし》
《暗黒の儀式》
《災厄の痕跡》
《ドビンの拒否権》
《魂の仕切り》
《秘儀の否定》
《風に運ばれて》
《遅延》
《リム=ドゥールの櫃》
《交錯の混乱》
《否認》
《引き裂かれた記憶》
《苦渋の破棄》
《ケイヤの手管》
《真夜中の一撃》
《発明品の唸り》
— エンチャント 3 —
《神秘的負荷》
《盲従》
《精霊界との接触》
— アーティファクト 24 —
《永遠溢れの杯》
《砕けたパワーストーン》
《睡蓮の花》
《ポータブル・ホール》
《墓掘りの檻》
《太陽の指輪》
《模倣メカ》
《時の篩》
《願い爪のタリスマン》
《秘儀の印鑑》
《アゾリウスの印鑑》
《ディミーアの印鑑》
《友なる石》
《稲妻のすね当て》
《精神石》
《オルゾフの印鑑》
《威圧のタリスマン》
《聖列のタリスマン》
《発展のタリスマン》
《思考の器》
《彩色の灯籠》
《連合の秘宝》
《呪文構成要素ポーチ》
《彫り込み鋼》
— 土地 32 —
《霊気拠点》
《灰のやせ地》
《コイロスの洞窟》
《統率の塔》
《秘密の中庭》
《ダークウォーターの地下墓地》
《水没した地下墓地》
《風変わりな果樹園》
《氷河の城砦》
《島》7
《孤立した礼拝堂》
《泥炭の沼地》
《平地》5
《涙の川》
《サプラーツォの岩礁》
《広漠なるスカイクラウド》
《産業の塔》
《沼》5
デッキ解説
デッキの値段は7,261円(2024年3月18日現在)です。土地の値段を切り詰めるために土地のリストにあまり見かけない名前の土地が数枚見受けられますが、色拘束の強いカードは採用しないなどの構築努力もあって色事故はそこまで気にならないレベルかなと思います。
統率者が非常に強力なこともあって、この値段でもデッキパワーレベルは7です。
今回のデッキは《秘密売り、ティヴィット》をとにかく早期に着地させて早い段階から継続的に莫大なアドバンテージを稼いでゲームを有利に進めることを目指します。勝利に必要なコンボパーツは実質《時の篩》1枚のみであるため、《加工》などのサーチを活用して早期にアクセスして勝ちにいくことも可能なターボ寄りのコンボデッキです。特に相手からの妨害がなければ平均キルターンは5ターン程になります。
《秘密売り、ティヴィット》EDHを安価構築で考える上での障害は以下の2つです。
- 安いカードに《時の篩》にアクセスできるカードが少ない
- 緑抜き3色デッキなので、土地を安くまとめると色マナ基盤が不安定になる
1番目に関しては、かき集めたところ9枚ありました。
- 《オズワルド・フィドルベンダー》
- 《捧げ物の魔道士》
- 《作り直し》
- 《加工》
- 《交錯の混乱》(変成)
- 《引き裂かれた記憶》(変成)
- 《リム=ドゥールの櫃》
- 《発明品の唸り》
- 《願い爪のタリスマン》
キルターンを5ターンと仮定するなら、合計13枚のカードにアクセスできるのは確定しているため必要最低限の枚数は集まったかなという手応えです。これ以外詰むとなると次に安いのが《悟りの教示者》(1200円)とかになってくるのでこれ以上採用するのは難しそうです。
2番目に関しては、基本土地を合計17枚採用しつつM10ランド(《水没した地下墓地》など)、枯渇ランド(《サプラーツォの岩礁》など)をベースに、それ以外は《涙の川》や《霊気拠点》などの若干怪しげな土地で色基盤を誤魔化してみました。色マナが出るマナアーティファクトの採用枚数も多いため、基本土地の採用枚数の割にはそこまで色事故は起きない印象です。
コンボ・ギミック紹介
秘密売り、ティヴィット+時の篩
《秘密売り、ティヴィット》のEtBとサボタージュでアーティファクトを5つ生成する能力と、5つのアーティファクトの生贄をコストとした追加ターン能力を持つ《時の篩》の組み合わせによる条件付き無限ターンのコンボです。成立条件がいくつかあります。
- 対戦相手が3人以上存在すること(プレイヤーの敗北に注意)
- 《秘密売り、ティヴィット》の攻撃が通ること(飛行ブロッカーに注意)
基本的にはコンボ成立後は追加ターンを使って一人ずつ《秘密売り、ティヴィット》で攻撃して倒していくことになりますが、1つ目の条件により対戦相手が減ると生成されるアーティファクトが減ってしまうため、《秘密売り、ティヴィット》の能力に加えて、自前でアーティファクトを供給する必要があります。(基本的には2枚追加すれば足りるため、今回の構築なら大したリスクではありません)
2つ目の注意点についても、飛行ブロッカーがいないプレイヤーから攻撃している間に、追加ターンを活用して除去札を引き込んだり、自前で《時の篩》のコストを用意したりすることで対応していけます。
秘密売り、ティヴィット+精霊界との接触
テクニックとして、《秘密売り、ティヴィット》が除去を受けたり、アーティファクトの枚数が足りないといった場合には《精霊界との接触》の魂力で《秘密売り、ティヴィット》を一時的に追放する選択肢があります。除去避けにもなる上、そのターンのエンドステップに場に戻る際にまた《秘密売り、ティヴィット》のEtB能力を使えます。
彩色の灯籠+枯渇ランド
こちらもコンボというより単なるギミックですが、《彩色の灯籠》は土地にマナ能力を与える能力を持つため、《サプラーツォの岩礁》などの枯渇ランドからマナを生み出す際、2マナ出す必要がない場合は《彩色の灯籠》で付与したマナ能力を使うことで、カウンターを減らさずにマナを出すことが可能です。今回のリストではマナ加速も兼ねて枯渇ランドを最大枚数採用しているため、覚えておいて損のないギミックです。
個別カード紹介
オズワルド・フィドルベンダー
《オズワルド・フィドルベンダー》はアーティファクト版の《出産の殻》のような能力を持つ、ライブラリから直接戦場にアーティファクトを場に出せるクリーチャーです。今回合計9枚採用している《時の篩》に直接アクセスできるカードの1枚で、1マナのアーティファクトをコストとして要求するものの先置きしておくことで少ないマナコストで《時の篩》を設置することが可能です。また《時の篩》以外にも《ポータブル・ホール》や《模倣メカ》など状況に応じたアーティファクトを展開でき、《作り直し》などと比較すると起動型能力であるため、ロングゲームに強い点が魅力的なカードです。
衰滅
《衰滅》は標準的な性能のクリーチャー全体除去呪文です。《滅び》などと比較するとタフネス4以下のクリーチャーまでしか除去できない代わりに、《秘密売り、ティヴィット》を巻き込まない全体除去として重宝します。一般的なシステムクリーチャーや多くの統率者のタフネスは4以下なため、十分であることが多いです。
洗い落とし
《洗い落とし》は切除して使わなければ1マナで唱えられる確定カウンターです。その場合の対象は「手札から唱えられていない呪文」と狭いですが、統率者戦では統率者領域から唱えられたカードを対象に取れるため、対象には困りません。一応1UUで標準的な確定カウンターとしても使えるため潰しもききます。
睡蓮の花
《睡蓮の花》は0マナで待機して3ターン後に唱えられる、生贄にすると3マナ出るアーティファクトです。マナコストを持たないため待機を経由する必要がありますが、それを加味しても最速で待機すれば4ターン目には待機が明けるため、統率者用のマナコストの供給に大きく貢献することが可能です。(今回のリストでは4ターン目《秘密売り、ティヴィット》着地を目指しているため、デッキの速度感にぴったりです)そのためキープ基準となるカードの1枚として重宝します。
改良の方針
あと1000円でも予算を引き上げられれば採用したいカードは色々とありますが、中でも特に採用できなかったことが惜しまれたカードを何枚か上げます。
- ペインランド(《アダーカー荒原》等): 500円程度〜。色安定のため特殊地形は増やしたい。
- 《否定の契約》:1500円程度。0マナカウンターは統率者の安全な着地への貢献度が高い。
- 《魂の洞窟》:4000円程度。これがあれば安心。《探検の地図》とセットで採用しても。
- 《タッサの神託者》&《汚れた契約》他: それぞれ1500円程度。《時の篩》コンボのサブプランとして頼もしい。
- 《最高工匠卿、ウルザ》:1000円程度。アーティファクトを寝かせるだけでマナが出るようになって強い。トークンもデカい。
まとめ
結論、統率者が強ければ7000円構築でもデッキパワー7程度までは構築できるという結論になりました。今回の構築は安い中でもしっかりとカードパワーのあるカードを集めて構築したので、プレイヤーの好みや手持ちのカード次第でどんどん入れ替えて使っていける、統率者戦の入り口としては良いデッキになったかと思います。
今回の記事を通じて、統率者戦って安く組んでも結構楽しめそうなフォーマットだなと、感じていただけたら嬉しいです。
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