【EDHデッキ紹介】大渦の放浪者【エルドレインの森 対応版】
今回は大渦の放浪者EDH(ヴァニファール型)の紹介です。
《大渦の放浪者》はプレインチェイス2012で登場した、ダイナミックな能力が特徴の現在でも高い人気を誇るティムールカラーの伝説のクリーチャーです。構築は自由度が高くビルダーの好みによりけりで自由度が高いですが、今回は特にムーブが完成されている《首席議長ヴァニファール》を軸に据えた構築を解説します。
目次
統率者解説
多人数戦向けセットとして発売したプレインチェイス2012で登場した《大渦の放浪者》は、5GURの8マナ7/5のエレメンタルで、自分がコントロールするクリーチャー(放浪者を含む)全てに速攻を付与する《熱情》のような能力に加え、2つの続唱(あなたがこの呪文を唱えたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、コストがより低い土地でないカードが追放されるまで追放する。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。追放されたカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。その後、それをもう一度行う。)を持っています。
統率者自身のスペックとしては、まず実質速攻の7/5統率者であるため、3回のアタックで統率者ダメージによる敗北条件21点をちょうど達成できる点が魅力的です。8マナは統率者としてかなり重い部類ですが、一方で続唱により7マナ以下の呪文まで唱えることができるため、強力な呪文を踏み倒すことができます。続唱の特性上(放浪者を唱えた時点で続唱が誘発し、スタック上で統率者、続唱、続唱の3つの呪文を唱えることができるため)、打ち消しにもある程度の耐性があり、高い展開力を誇る統率者だと言えます。
しかし、3回攻撃すれば21点といっても飛行もトランプルもないため、チャンプブロックが容易であり、統率者単体でみると統率者ダメージによる勝利はメインプランに据えるのは不安が残るスペックだと言えます。また、続唱も強力なカードが捲れるかどうかは運任せであるため、ムーブの不安定さにも懸念があると言えます。
ただし、それらの懸念は放浪者と相性の良いカードと組み合わせることで克服していくことが可能です。トランプルを付与する強力なカードや、インスタントタイミングでデッキトップのカードを操作できる教示者と組み合わせることで、不安定さは改善され、純粋に続唱のテンポ・カードアドバンテージを生かすことが可能です。
デッキリスト
今回はサンプルリストとして自作のリストをmoxfield様にて公開しましたので以下をご参照ください。
https://www.moxfield.com/decks/u5oetCwGAECnXgrXNMFl_w
— 統率者 1 —
《大渦の放浪者》
— クリーチャー 27 —
《オークの木こり》
《敏捷なこそ泥、ラガバン》
《極楽鳥》
《アフェットの錬金術師》
《キオーラの追随者》
《幻影の像》
《波止場の恐喝者》
《花を手入れする者》
《旅するサテュロス》
《呪文滑り》
《詐欺師の総督》
《イゼットの静電術師》
《呪文探求者》
《粗石の魔道士》
《帝国の徴募兵》
《不死身、スクイー》
《刻み角》
《野生の心、セルヴァラ》
《速爪の達人》
《ファイレクシアの変形者》
《背信のオーガ》
《首席議長ヴァニファール》
《鏡割りのキキジキ》
《士気溢れる徴集兵》
《狙い澄ましの航海士》
《草分けるアイベックス》
《船砕きの怪物》
— インスタント 13 —
《渦まく知識》
《蒸気の連鎖》
《神秘の教示者》
《紅蓮破》
《赤霊破》
《有毒の蘇生》
《俗世の教示者》
《マナ吸収》
《煮えたぎる歌》
《活性の力》
《呪文詐欺》
《水没》
《運命のきずな》
— ソーサリー 7 —
《ギャンブル》
《新生化》
《三顧の礼》
《意外な授かり物》
《ジェスカの意志》
《異界の進化》
《変わり樹の共生》
— エンチャント 9 —
《神秘的負荷》
《花の絨毯》
《楽園の拡散》
《繁茂》
《Copy Artifact》
《相殺》
《食物連鎖》
《夜明けの反射》
《市場の祝祭》
— アーティファクト 9 —
《宝石の睡蓮》
《魔力の墓所》
《魔力の櫃》
《師範の占い独楽》
《太陽の指輪》
《厳かなモノリス》
《出産の殻》
《一つの指輪》
《金粉の水蓮》
— プレインズウォーカー 3 —
《ダク・フェイデン》
《ビヒモスを招く者、キオーラ》
《王冠泥棒、オーコ》
— 土地 31 —
《古えの墳墓》
《乾燥台地》
《血染めのぬかるみ》
《耐え抜くもの、母聖樹》
《繁殖池》
《真鍮の都》
《風変わりな果樹園》
《溢れかえる岸辺》
《森》
《宝石の洞窟》
《高級市場》
《島》
《マナの合流点》
《霧深い雨林》
《山》
《天上都市、大田原》
《汚染された三角州》
《回復の温泉》
《沸騰する小湖》
《尖塔の庭》
《蒸気孔》
《踏み鳴らされる地》
《Taiga》
《訓練施設》
《Tropical Island》
《ウルザの物語》
《新緑の地下墓地》
《Volcanic Island》
《吹きさらしの荒野》
《樹木茂る山麓》
《ヤヴィマヤの沿岸》
デッキ解説
リストを俯瞰すると、明確に続唱でめくれた時に弱いカードをできるだけ減らしつつも、統率者がキャストできる8マナに到達する速度を追求した構築だと言えます。
マナ基盤はマナクリーチャー・アーティファクト・エンチャントなどに分散しているため、《無のロッド》や《呪われたトーテム像》など特定の置物で機能停止しづらい構成になっています。また、クリーチャーによるマナ加速は単純にマナを加えるクリーチャーよりも、《アフェットの錬金術師》や《旅するサテュロス》といったパーマネントをアンタップすることによる加速手段を採用することで、《厳かなモノリス》や《繁茂》がエンチャントされた土地などとシナジーして飛躍的なマナ加速を実現しています。とにかく統率者が重いため、他のデッキでは比較的採用例の少ない《夜明けの反射》や、《市場の祝祭》は上記のようなシナジーを期待して採用されているカードです。
妨害手段としてはオーコや《刻み角》、《相殺》といった続唱で捲れても強い置物タイプのカードを採用しつつ、インスタントタイミングの対話には《蒸気の連鎖》、《呪文詐欺》、《紅蓮破》などといった、こちらのムーブの加速にも活用可能なカードを採用しています。(詳細は後述)
勝ち筋として《首席議長ヴァニファール》の着地を目指すため、ヴァニファールにアクセスできる《新生化》、《異界の進化》、《帝国の徴募兵》などのリクルート・サーチ手段が豊富に採用されています。(こちらも詳細は後述)
個別カード解説
- 《ビヒモスを招く者、キオーラ》
2G/Uの3マナプレインズウォーカーで、パワー4以上のクリーチャーが自身の場に出た際に1枚カードを引く常在型能力と、-1でパーマネントを1つアンタップする忠誠度能力を持ちます。
初期忠誠度が7と高いため場持ちが良いPWでありながら、マナ拘束の少ない3マナで出てすぐ使えるパーマネントアンタップ能力はそれだけでもマナ加速としてパフォーマンス良好です。今回のリストでは基本的に単体で2マナ以上生むパーマネントが1枚は出ていることが多いため、構築との相性も良いです。
常在型のドロー能力は、放浪者の続唱でキオーラがめくれた場合、放浪者よりも先にキオーラが着地するため、放浪者の着地から1ドローが可能です。デッキの性質上、放浪者を複数回キャストすることが多いため、キオーラが生み出すアドバンテージも強力なものになります。
- 《イゼットの静電術師》
1URの瞬速、速攻の0/3で、タップすることで対象のクリーチャーとその同名クリーチャーに1点のダメージを与えます。一見地味な能力ですが、相手のマナクリーチャーや現在統率者戦でよく見かける《オークの弓使い》などを継続的に焼くことができます。また、《アフェットの錬金術師》のようなクリーチャーをアンタップできるカードが複数枚採用されているため、それらの組み合わせることでタフネス2以上のクリーチャーを制圧することもできるため、見た目よりも高い制圧力を持ちます。
放浪者から捲れるカードとしては決して強くはない方ですが、妨害置物として他のカードとシナジーすることで、生物メタカードとしては高いパフォーマンスを誇るカードです。また、同一のクリーチャートークンは同名クリーチャーとして扱うため、一部のクリーチャートークンをよく使うデッキに対しても強力なメタとして機能します。
- 《草分けるアイベックス》
大渦の放浪者EDHを語る上では欠かせない、強力な誘発能力を持った4GG 3/3の羊です。アタック時に同時にアタックしているクリーチャーの中で一番高いパワー分の修正とトランプルを全アタッククリーチャーに付与します。
放浪者の速攻付与能力と相性が良く、放浪者とアイベックスだけでも最低でも14/12と10/10のトランプルになります。クリーチャーが一体増えることに凄まじいダメージを叩き出すことができるため、システムクリーチャーなどを戦闘に参加させることで多くの盤面で一人は倒すことができるカードです。(コピーなどによりアイベックスが2体揃った場合は100点以上出ることもざらです)
また攻撃時の誘発型能力であるため、《倦怠の宝珠》や《呪われたトーテム像》などの影響下でもムーブできる点も評価できます。
- 《首席議長ヴァニファール》
2GU2/4、タップすることで出産の殻と同様の、クリーチャーをサクることでそのクリーチャーよりも1マナ大きいクリーチャーをデッキから場に出す能力を持ちます。
今回のリストは放浪者とヴァニファールが揃うことで勝つことを目指した構築となっており、それらが揃うことで勝つことが可能です。ヴァニファールのタップ能力は単体では召喚酔いにより悠長な能力ですが、放浪者の速攻付与により着地したターンから使っていくことができます。
- 《マナ吸収》
UUの万能打ち消しで、次のメインフェイズ開始時に打ち消した呪文のマナコスト分の無色マナを生む強力な打ち消し呪文です。
《意志の力》や《白鳥の歌》といった多くの青いEDHで採用されるカウンター呪文は続唱で捲れた際にあまりにも弱いため、放浪者との相性が非常に悪く、それ故に多くの大渦の放浪者EDHはカウンター合戦や妨害が少ない構築にまとまりがちです。
その点、マナ吸収は万能打ち消し、放浪者のためのマナ加速だけでなく、続唱で捲れた際にも放浪者を打ち消すことで、戦闘後メインフェイズに無色8マナを加えてもう一度放浪者をキャストする機会を与えてくれます。
- 《紅蓮破》・《赤霊破》
非常に類似した能力を持った青の色対策呪文の2枚です。基本的にはRのインスタントで、青のパーマネントの破壊、あるいは青の呪文を打ち消します。
青は統率者戦で非常に人気色で多くの卓に一人以上いるため腐ることはまずありません。また、妨害手段としても1マナでありながらパーマネントと呪文両方に対応しているため非常に強力です。
放浪者は前述の通り打ち消し呪文と相性が悪いですが、《紅蓮破》・《赤霊破》は放浪者の打ち消しおよび破壊に対応しているため、マナが余っている場合に放浪者を破壊し、リキャストするための手段として有効です。放浪者EDHを握っているとよく出会う場面として、放浪者を破壊すると続唱でアドバンテージを取られるから除去されない、というものがあります。この2枚は、そういった状況を打開するカードとして使えながら、強力な青への妨害手段としても使えるため採用されています。
- 《食物連鎖》
2Gのエンチャントで、自分のクリーチャーを追放することで、そのクリーチャーのマナコスト+1マナのクリーチャーを唱える専用のマナを生み出します。
放浪者と強力なシナジーを形成する1枚で、運が悪くなければ《食物連鎖》1枚で勝てることが多いです。《食物連鎖》で放浪者を追放することで9マナ生まれ、放浪者からは大体クリーチャー2体か、似たような価値のあるカード2枚が捲れるため、《食物連鎖》が出れば大体のケースで放浪者を追加で3、4回はキャストでき、合計10回前後の続唱を行えます。それだけ続唱すると大体何か勝てるカードが捲れるため、そこから勝利することができます。
一方で、一般的に放浪者EDHでは食物連鎖が最もヘイトの高いカードであるため、妨害を受けることも多いカードです。
- 《運命のきずな》
5UUの追加ターン呪文で、解決後ライブラリに戻る性質があります。何より強力なのはインスタントであるという点で、仕掛けるタイミングが重要である多人数戦においてはソーサリーの追加ターン呪文との評価は雲泥の差です。
自分の前の番の相手のエンドフェイズにキャストすることで妨害を吐かせてからムーブできるカードでありながら、放浪者からめくれても強いカードであり、またライブラリの戻る性質も一応相性が良いと言えます。
同様に妨害を貫通するカードとして、夏の帷と比較すると捲った時の強さの差でこちらに軍配が上がります。
- 《呪文詐欺》
3UUの万能打ち消しで、打ち消した呪文のマナコスト分の宝物トークンを生成します。挙動としてはマナ吸収に近い働きをしますが、こちらは非常に重い代わりに、宝物トークンであるため有色マナである点、解決した時点でマナを確保できる点など微妙な違いがあります。
確定カウンター呪文でありつつ、放浪者からめくれても放浪者をカウンターすることで宝物トークンを8つ生成し、放浪者のリキャストに繋げることができます。
近い役割を持てるカードに《呪文乗っ取り》が存在しますが、あちらは1マナ重く、マナを生成しないため放浪者までのマナ加速に貢献しづらい点でこちらに軍配が上がっています。
デッキの回し方
序盤はとにかく最速で8マナの到達を目指します。うまく噛み合えば2ターン目に着地できることもあります。2ターン目の放浪者は統率者ダメージによるプレッシャーもかけやすいため非常に強力です。3ターン目時点で一人のプレイヤーに14点まで入れておけば、そのプレイヤー視点では放浪者を確実に除去するか、ブロックすることを強制できます。この際、チャンプブロックが難しそうな(こまごましたクリーチャーが出て来なそうな)プレイヤーを標的にすることで、統率者などの重要なクリーチャーによるチャンプブロックを強制させることができます。また放浪者が除去される分には追加でアドバンテージを獲得できるため問題にならないことが多いです。
早期に放浪者を着地させるために重要なカードとして、《波止場の恐喝者》、《オークの木こり》、《背信のオーガ》、《ジェスカの意志》、《宝石の睡蓮》があります。これらのカードは基本的に1枚で3マナ以上のマナ加速を実現できるため、土地2枚とこれらのカードのうちいずれかに、追加のマナ加速手段次第で、2ターン目の放浪者を達成することができるイメージです。
また、序盤の動きとしては単体で3マナ以上生み出せるパーマネントを作ることも重要です。《金粉の水蓮》、《夜明けの反射》、《市場の祝祭》の3枚は単体で3マナ以上生み出せるカードで、放浪者キャストまでのマナ加速はもちろん、後半にコンボ成立を強力にサポートすることが可能です。
そこまで早い手札がキープできないこともあるため、間に合わなそうなら《Mystic Remora》やマナ吸収などで相手を妨害しながら後手に回る判断も重要です。このデッキはターボ型のコンボデッキと比べるとさすがに速度負けする(また安定感にも懸念がある)ため、速度を競うと幸せになれない卓もあります。
また、半端にヘイトを稼ぐムーブをすると妨害の標的にされてしまうので、ムーブの緩急も重要です。例えばセルヴァラや《食物連鎖》、《出産の殻》などをフルタップでポン置きしてそのターンは何もしないとか、そういったことをすると大概手酷く妨害を受けることになります。
キープ基準
ここではいくつか初手ハンドの例と考え方を紹介します。
- ハンド例1
土地3、《宝石の洞窟》、《Mystic Remora》、《太陽の指輪》、《背信のオーガ》
キープです。先手でなければ1TからRemoraと《太陽の指輪》設置、2TはRemoraを維持しながら《背信のオーガ》をプレイするか、トップ次第で放浪者に行けるならRemoraを維持しないで《背信のオーガ》から放浪者で勝ちに行けます。《背信のオーガ》をRemoraの影響下で投げられるため、妨害を受けた場合でもリカバリーしやすい点が非常に強力なハンドです。
- ハンド例2
土地2、《紅蓮破》、《師範の占い独楽》、《旅するサテュロス》、《魔力の櫃》、《速爪の達人》
キープです。1T《魔力の櫃》、2T《速爪の達人》+《紅蓮破》構えor独楽で手堅くムーブでき、3Tには《紅蓮破》や独楽などがある良い状況下で放浪者を目指せます。《速爪の達人》がないと放浪者が遠いハンドではあるため、ヘイト管理には注意を払う必要があります。
- ハンド例3
土地1、《ウルザの物語》、《三顧の礼》、《ジェスカの意志》、《ファイレクシアの変形者》、《煮えたぎる歌》、《活性の力》
マリガンです。遅くとも3ターン目には放浪者が確定しているハンドですが、《煮えたぎる歌》+《ジェスカの意志》で一時的な加速に偏りすぎており、放浪者からの捲りがしょぼかった場合に立ち直れなくなるハンドです。また、捲りが強かったとしても相手からの妨害1枚でやはり立ち直れなくなります。
コンボ・ギミック解説
- 大渦の放浪者+首席議長ヴァニファール(+クリーチャー2体)
放浪者+ヴァニファール+任意のクリーチャーの盤面から勝ちにいくコンボプランです。
ヴァニファールに速攻が付与されるため、ヴァニファールから他のクリーチャーをサクってスタートします。下記のようにヴァニファールの能力を連続起動が可能です。
- 2マナ)《アフェットの錬金術師》・《キオーラの追随者》、タップ起動→ヴァニファールアンタップ
- 3マナ)《詐欺師の総督》、EtB→ヴァニファールアンタップ
- 4マナ)《速爪の達人》、タップ起動→ヴァニファール+何かアンタップ
- 5マナ)《士気溢れる徴集兵》、EtB→ヴァニファールアンタップ
- 6マナ)《狙い澄ましの航海士》、1U起動→ヴァニファールブリンク
また、盤面次第では《幻影の像》や《ファイレクシアの変形者》、《帝国の徴募兵》、《呪文探求者》も使えます。
最終的に勝てるクリーチャーの組み合わせとして下記を目指します。
- 《鏡割りのキキジキ》+《詐欺師の総督》or《士気溢れる徴集兵》(無限速攻トークン)
- 《狙い澄ましの航海士》+《野生の心、セルヴァラ》(無限マナ・無限ドロー)
- 《狙い澄ましの航海士》+《キオーラの追随者》(盤面次第で無限マナ、無限統率者キャスト)
- 《船砕きの怪物》(盤面次第で無限マナ、無限統率者キャスト)
例として、1マナクリーチャー2体(A、B)であれば以下のような流れで達成できます。
- Aサクり錬金術師、Bサクり《幻影の像》で錬金術師コピー
- 錬金術師サクって《詐欺師の総督》→《速爪の達人》→《士気溢れる徴集兵》→《狙い澄ましの航海士》
- 錬金術師サクってセルヴァラ
他にも、盤面でヴァニファールが元々2回起動できる状態であれば、《士気溢れる徴集兵》から相手のクリーチャーのコントロールを奪ってヴァニファールの種にすることもできます。カードごとに微妙に異なる性質を持っているため、状況に合わせて使い分ける必要があります。
- 《呪文探求者》(+《新生化》)
《呪文探求者》のEtB能力で《新生化》にアクセスし、そのまま《呪文探求者》をサクって《新生化》を唱えることで、ヴァニファールになれます。ヴァニファール着地後の勝ち筋は上記の通りです。
- 《食物連鎖》+《不死身、スクイー》
追放領域から唱えられるスクイーを《食物連鎖》で追放してマナを得ることで、クリーチャー専用の有色無限マナを達成します。《食物連鎖》がクリーチャーのサクり台として機能するため、そのまま放浪者の無限キャストに変換することができる点が強力です。
《食物連鎖》は元々放浪者との1枚コンボのような側面がありますが、スクイーが入ることで元手となるクリーチャーが少ない盤面からでも勝ちにいけます。またスクイーは墓地からも唱えられるため、ヴァニファールでサクるクリーチャーがいない状態を打開する手段としても使える点が優秀です。
- 《狙い澄ましの航海士》+3マナ以上生むクリーチャー
《狙い澄ましの航海士》は1Uでクリーチャーをブリンクする能力を持つため、単体で青含み3マナ以上生まれるクリーチャーであれば無限マナを達成することが可能です。今回のリストでは、以下のようなカード群から達成できる可能性があります。
<3マナ以上生む可能性のあるクリーチャー>
- 《旅するサテュロス》(タップで土地アンタップ)
- 《アフェットの錬金術師》(タップでクリーチャー、アーティファクトアンタップ)
- 《花を手入れする者》(タップで各色1マナずつ)
- 《波止場の恐喝者》(EtBで相手のアーティファクト・エンチャントの数分の宝物トークン)
- 《キオーラの追随者》(タップでパーマネントアンタップ)
- 《野生の心、セルヴァラ》(Gタップで最大パワー分任意の組み合わせマナ)
- 《詐欺師の総督》、《士気溢れる徴集兵》(EtBでパーマネントアンタップ)
<クリーチャー以外の3マナ以上でるパーマネント>
- 《金粉の水蓮》(アーティファクト)
- 《夜明けの反射》(土地)
- 《市場の祝祭》(土地)
なお、《花を手入れする者》は青マナを1つしか生まないため無限赤緑マナになる点には注意が必要です。また、《市場の祝祭》などを《古えの墳墓》につけてしまうと、コンボサイクル中にライフがゴリゴリ減るので同様に注意が必要です。
- 《渦まく知識》・《師範の占い独楽》・《俗世の教示者》、《神秘の教示者》
インスタントタイミングでライブラリのトップを操作できるため、続唱に合わせて使うことで強力なカードを踏み倒すことができます。続唱は2回誘発するため、最初から操作するか、1回目の結果を見てから操作するかを決めることができます。
《俗世の教示者》であればヴァニファールや《船砕きの怪物》、《神秘の教示者》であれば《異界の進化》(からのヴァニファール)や《運命のきずな》などが候補となります。
環境での位置付けとデッキのパワーレベル
デッキパワーレベルは大体7だと考えます。放浪者は決して最上位の統率者ではありませんが、打ち消し耐性による線の太さと運任せな高速コンボという明確な強みがあり、《食物連鎖》やヴァニファールのようにすぐに勝ちに行ける強力なコンボも搭載しています。
今回のリストは放浪者EDHとしてはかなり対話力のある構築になっており、ヴァニファールを軸に据えることで続唱による不安定さもかなり改善しています。典型的な勝ちパターンとしては2T放浪者からドブンでコンボが決まるパターンの他に、アイベックスなどを起点に攻撃してゴリ押すパターン、船砕き1枚でゲームが終わるパターンなど様々です。
典型的な負けパターンとしては放浪者が盤面に居座ってしまいアドバンテージが稼げなくなってしまうパターンや、相性が非常に悪いメタカード(ラヴィニア、《ドラニスの判事》、《三なる宝球》、《法の定め》など)を対処できなかった場合などがあります。
デッキパワーレベルが自分より上のデッキとプレイする場合、勝てることもありますが、大体は上記のようなメタカードに黙らされることが多いです。レベルが上のデッキとの対話を深めたいのであれば、コンボ要素を削って激情や忍耐といった良質な妨害札を増やし、よりフィジカルに寄せることをおすすめします。
低予算化オプション
超高額カード(3万円以上)
- デュアルランド各種
高額カード(1万円〜3万円未満)
- 《魔力の墓所》
- 《宝石の睡蓮》
- 《一つの指輪》
- 《厳かなモノリス》
比較的高額なカード(3000円〜1万円未満)
- 《波止場の恐喝者》
- フェッチランド各種
- ラガバン
- 《魔力の櫃》
- 《古えの墳墓》
- 《Copy Artifact》
- 《ウルザの物語》
デュアルランドについて
デュアルランドは強力な土地です。テンポを落とすことなく色事故の低減に大きく貢献できます。
今回のリストであれば、特にマナ吸収の最速2ターン目のUU要求と、セルヴァラの1GGが色的には重いです。ただし、放浪者はライフ的にも余裕のある統率者であるため、《色あせた城塞》やペインランドなどで代替していくことは可能です。その場合、フェッチランドに対応している土地の枚数と、今回《三顧の礼》を採用しているため、森の枚数に注意する必要があります。
魔力の墓所・厳かなモノリスについて
これらのカードは統率者が非常に重い放浪者を支える上で非常に重要な役割を持つカードです。特に、今回のリストではアーティファクトのアンタップに対応したクリーチャーを複数枚採用しているため、それらとシナジーを形成することで膨大なマナを生み出すことが可能で強力です。
代替する場合は、《ソンバーワルドの賢者》や、《失われた業の巫師》、《はびこり》など、単体で2マナ以上生めるパーマネントをおすすめします。ただし、クリーチャーに寄せすぎると《オークの弓使い》などで壊滅的な被害を受ける場合があるため注意が必要です。
宝石の睡蓮 について
0→3加速は他に類を見ないレベルのマナ加速手段であり、重い統率者を使う上では非常に強力で、放浪者を早期にキャストする上では重要なカードです。また、放浪者は繰り返し唱えることを想定しているため、続唱でめくれてしまった場合でも、3マナ生める能力が腐ることはまずありません。
ただし、今回のリストではリソース回復手段を放浪者に頼っているため、一次的なマナ加速手段は偏って引いた場合に事故要因になる場合もあります。
代替する場合は、《魔力の墓所》などと同様に、単体で2マナ以上生めるパーマネントをおすすめします。
一つの指輪 について
《一つの指輪》は現在EDH界隈を震撼させている最強のアーティファクトです。特に今回のリストではアーティファクトのアンタップに対応しているカードを複数枚採用しているため、一つの指輪から莫大なアドバンテージを獲得できる可能性があります。できるだけ採用したいカードだと言えます。
フェッチランドについて
フェッチランドは単純に土地基盤の色を安定させるだけでも非常に評価の高い土地群です。今回のリストでは、それ以外にシャッフル能力を活用した独楽や相殺のデッキトップ変更とシナジーを形成します。
ただ、昨今では《敵対工作員》をはじめとした強力なメタカードが生まれているため、必ずしもフェッチランドが万能とも限りません。色の安定性を考慮しつつ、採用枚数は検討の余地があると言えます。なお、その場合《オークの木こり》を採用しているため、森へのアクセス手段を検討する必要があります。
その他の候補カードについて
より速度を目指す場合、以下のような加速手段の採用が検討できます。
- 《ライオンの瞳のダイアモンド》
- 《はびこり》
- 《裏切り者の都》
- 《ソンバーワルドの賢者》
- 《ほくちの壁》
- 《召喚士の契約》
より妨害性能、対戦相手との対話力を高めたい場合には、以下などです。
- 《忍耐》
- 《激情》
- 《金粉のドレイク》
- 《大いなる創造者、カーン》
- (どうしてもカウンターが欲しい場合)《否定の契約》
もっとダイナミックなカードを採用したい場合には、以下などです。
- 《頂点のアルティサウルス》(放浪者を出産の殻でサクると出ます)
- 《虚空の選別者》(放浪者を出産の殻でサクると出ます)
- 《歯と爪》(続唱でめくれた場合に双呪するには追加で2マナ支払う必要があります)
- 《彩色の宇宙儀》
- 《黙示録》(放浪者で9回攻撃するまでゲームが終わらなくなります)
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は昔ながらの統率者である大渦の放浪者EDHのデッキを紹介しました。
個人的に放浪者は一方的に捲っているだけよりも対話が生まれる方が統率者戦を楽しめるため、今回のような構築を好んでいます。
記事の更新情報はEDH.JPのX(Twitter)で投稿しています。フォローしてくれると嬉しいです。