【EDHデッキ紹介】儀式の大魔導師、イナーラ【エルドレインの森 対応版】
今回は儀式の大魔導師、イナーラEDHの紹介です。
《儀式の大魔導師、イナーラ》は統率者2017で登場した統率者領域にいるだけで能力が適用される威光能力を持ったグリクシスカラーの伝説のクリーチャーです。《呪文探求者》1枚から勝てる強力なコンボを擁する最速クラスのコンボデッキです。
目次
統率者解説
統率者2017で登場した《儀式の大魔導師、イナーラ》は、2UBRの5マナ4/5の人間・ウィザードで、他のトークンでないウィザードが自分の戦場に出る度に無色1マナ支払うことで、ターン終了時までそのコピーであり速攻を持つトークンを生成する強力な誘発型能力と、アンタップ状態のウィザード5体をタップすることでプレイヤー1人のライフを7点失わせる起動型能力を持ちます。
威光能力が強力な統率者であるため、基本的には統率者は場に出すことはなく、威光能力を活かしてムーブしていくことになります。統率者戦には強力な能力を持ったウィザードが多く存在しており、それらを僅か1マナでコピーできる能力は非常に強力で、簡単にコンボを成立させることができます。それにより、EDHではほぼ見られない1ターン目、2ターン目の勝利を現実的な可能性で実現することが可能なデッキです。
一方で、墓地対策やEtB能力を封じる倦怠の宝珠などの対策カードでがっつり対策される側のデッキでもあります。実戦ではそれらを潜り抜けて、いかにコンボを成立させるか、あるいはそれらが設置される前に勝利するかというゲームになります。
今回紹介するリストはイナーラEDHの中でも特にコンボ速度に振り切ったリストです。
デッキリスト
今回はサンプルリストとしてmoxfieldからIykos氏のリストを参考にさせていただきました。
https://www.moxfield.com/decks/yrFKOscy6kWLOZ6otDtXKw
— 統率者 1 —
《儀式の大魔導師、イナーラ》
— クリーチャー 6 —
《タッサの神託者》
《オークの弓使い》
《波止場の恐喝者》
《呪文探求者》
《猿人の指導霊》
《星霜の学者》
— インスタント 30 —
《否定の契約》
《蒸気の連鎖》
《狼狽の嵐》
《精神的つまづき》
《神秘の教示者》
《呪文貫き》
《白鳥の歌》
《Burnt Offering》
《弱者選別》
《暗黒の儀式》
《Demonic Consultation》
《納墓》
《吸血の教示者》
《紅蓮破》
《赤霊破》
《風に運ばれて》
《思考停止》
《目くらまし》
《Lim-Dul’s Vault》
《共に逃走》
《断絶》
《陰謀団の儀式》
《浅すぎる墓穴》
《汚れた契約》
《最後の賭け》
《否定の力》
《直観》
《精神壊しの罠》
《意志の力》
《むかつき》
— ソーサリー 18 —
《伝国の玉璽》
《再活性》
《発掘》
《ギャンブル》
《炎の儀式》
《悪魔の教示者》
《頑強》
《無名の墓》
《約束の終焉》
《最後のチャンス》
《記憶の裏切り》
《Timetwister》
《意外な授かり物》
《不気味な教示者》
《ヨーグモスの意志》
《Wheel of Fortune》
《Beseech the Mirror》
《通り抜け》
— エンチャント 4 —
《神秘的負荷》
《死の国からの脱出》
《リスティックの研究》
《ネクロポーテンス》
— アーティファクト 16 —
《金属モックス》
《ライオンの瞳のダイアモンド》
《水蓮の花びら》
《魔力の墓所》
《モックス・ダイアモンド》
《オパールのモックス》
《魔力の櫃》
《太陽の指輪》
《願い爪のタリスマン》
《秘儀の印鑑》
《防御の光網》
《厳かなモノリス》
《独創のタリスマン》
《威圧のタリスマン》
《耽溺のタリスマン 》
《一つの指輪》
— 土地 25 —
《古えの墳墓》
《乾燥台地》
《Badlands》
《血の墓所》
《血染めのぬかるみ》
《魂の洞窟》
《真鍮の都》
《裏切り者の都》
《統率の塔》
《水晶鉱脈》
《溢れかえる岸辺》
《宝石の洞窟》
《マナの合流点》
《湿地の干潟》
《霧深い雨林》
《変遷の泉》
《天上都市、大田原》
《ファイレクシアの塔》
《汚染された三角州》
《沸騰する小湖》
《Underground Sea》
《新緑の地下墓地》
《Volcanic Island》
《湿った墓》
《樹木茂る山麓》
デッキ解説
強力なサーチ手段や1枚から勝てる可能性のあるパワーカードが多いグリクシスカラーにおいて、そのほとんどを採用し、限りなくコンボに特化させています。コンボルートはいくつかありますが、基本的には《呪文探求者》からの1枚コンボか、《タッサの神託者》絡みの2枚コンボを目指します。
デッキの立ち位置として、様々なメタカードやカウンターから妨害を受ける側なので、それらをいかに掻い潜って勝利するか、という点でやり取りが生まれていきます。厳しいメタカードとしては代表的なところではサーチを妨害される《敵対工作員》、《呪文探求者》を無力化される《倦怠の宝珠》、リアニメイト呪文が機能しなくなる《墓掘りの檻》のほか、《法の定め》系のカードも厳しいです。他にも、アーティファクトに頼る部分が大きいため《無のロッド》や、《ドラニスの判事》も脱出など一部の強力なカードに刺さるなど、コンボ特化だからこそ様々なメタによる妨害が成立してしまう側面があります。カウンターや除去は1:1交換でやり取りしていくことが可能ですが、《剣を鍬》や《否定の力》などの追放妨害には注意が必要です。追放されるとリアニメイト呪文や脱出などによるリカバリーが効かないため、キーカードを追放されると勝ち筋を大きく失う可能性があります。
ただし、上記のような妨害を受けながらもそれらを振り払う可能性があるだけの強力なコンボを擁するため、ヘイトを一身に受けながら突き進むことが好きな方にはおすすめのデッキであると言えます。
個別カード解説
- 《呪文探求者》
2U 1/1のウィザードで、EtBでライブラリからコスト2以下のインスタント・ソーサリーをサーチする能力を持ちます。イナーラの威光により、2U+1マナでインスタント・ソーサリーを2枚サーチすることが可能です。詳細はコンボ解説パートで解説しますが、おおまかには《弱者選別》のようなサクってマナを生む呪文と、リアニメイト呪文を経由することでマナと墓地を増やし、最終的に《星霜の学者》によるループを成立させることで無限マナ・無限トークンを達成して勝利することが可能です。このコンボが《呪文探求者》が手札にある状態から2UBで成立するため、非常に強力です。
また、このコンボは手札や墓地にパーツが落ちていれば《呪文探求者》からのサーチでバウンス呪文やカウンター呪文を確保することもできるため、1枚始動でありながら妨害耐性まで獲得できる可能性がある凄まじいコンボだと言えます。
- 《星霜の学者》
5UU 3/3のウィザードでEtBで墓地から最大2枚のインスタント・ソーサリーを手札に戻すことができ、威光込みで墓地から4枚の呪文を回収できる破格の能力を有しています。ただ本体は7マナと非常に重いため、基本的にはリアニメイト呪文からの釣り上げて出すことになります。このカードの存在によって、《納墓》+《浅すぎる墓穴》から2枚コンボで勝利することも可能にしています。
- 《共に逃走》
異なるプレイヤーのクリーチャーである必要があるものの、1Uインスタントでありながら2体のクリーチャーをどかすことができる優秀な呪文です。自分の《波止場の恐喝者》をバウンスして使い回す動きもできます。
- 《風に運ばれて》
1Uのキャントリップ付きのインスタントで、唱えたターンにインスタントタイミングで呪文を唱えることができるようになります。少ない枚数からコンボを仕掛けられる今回の統率者であれば、インスタントタイミングで勝ちに行けるようになるメリットは非常に大きいです。
相手のマナが枯渇しているほかのプレイヤーのターン終了時などに仕掛けることで妨害を受けづらくしたり、自分の直前のターンに唱えることで相手の妨害を吐かせたりと、様々な使い方が可能です。
デッキの回し方
基本的にはゲームが長期化すると不利なデッキではあるため、最速でコンボを仕掛けにいくことが望ましいです。イメージ的には1ターン目は土地+マナファクトから《悪魔の教示者》などで《呪文探求者》をサーチ、2ターン目に《暗黒の儀式》などの一時加速などを使って4マナ以上を揃え、《呪文探求者》から勝利するのが理想的です。手札次第でこのムーブは1ターン目からできることもありますし、3ターン目までかけて相手の妨害を剥がしたり追加の打ち消しを構えながら仕掛けるなどもあります。
4ターン以上かけてしまうと、基本的にはすぐに勝つことは難しくなっていきます。相手のコンボにこちらの妨害を切る必要が出てきたり、致命的な妨害が設置されたりと、一筋縄ではいかなくなります。そのため初手が非常に重要で、早期のコンボ成立が期待できるハンドをキープしたいです。
とはいえ、ゲームが長期化したら勝てないデッキというわけでもありません。カウンターは多いため、隙を窺って脱出や《むかつき》などの線の太い方法で仕掛けることで、コンボを成立させにいく可能性はあります。
キープ基準
ここではいくつか初手ハンドの例と考え方を紹介します。
- ハンド例1
土地1、《暗黒の儀式》、《頑強》、《再活性》、《呪文探求者》、《厳かなモノリス》、《波止場の恐喝者》
キープです。トップ次第でムーブが変わる可能性がありますが、初手段階では1T土地セットなしでクリンナップに《呪文探求者》を捨てることで、2Tに土地セット、《暗黒の儀式》、《再活性》→《呪文探求者》で勝利することが可能です。2Tから勝ちにいくことができ、一応妨害されても《頑強》から仕掛け直すことも視野です。また、トップから《水蓮の花びら》のような青マナを生む手段が引き込めれば1ターンキルも可能です。
- ハンド例2
土地2、WoF、《魔力の櫃》、《水蓮の花びら》、《ギャンブル》、《目くらまし》
キープです。1T土地、櫃、花びらから《ギャンブル》で《呪文探求者》、《呪文探求者》がハンドに残れば2Tに《目くらまし》構えで仕掛けることができます。《ギャンブル》で《呪文探求者》が落ちてしまった場合は、WoFでリアニメイト呪文などへのアクセスを期待することになります。
- ハンド例3
土地2、《最後の賭け》、《Lim-Dul’s Vault》、《Demonic Consultation》、《伝国の玉璽》、WoF
マリガンです。サーチ手段に偏りすぎてムーブが重くなってしまっているパターンです。一応3ターン目に仕掛けることはできますが、打ち消しがなくまず成功しません。卓に青がいないなど特殊な状況であればキープできる可能性はあります。
コンボ・ギミック解説
- 《呪文探求者》 2UB
《呪文探求者》からのコンボルートを解説します。
ゴールは《星霜の学者》+《浅すぎる墓穴》+《Burnt Offering》へのアクセスです。最小で2UBスタートです。
- 2UB浮き)《呪文探求者》キャスト、威光と探求者のEtBが誘発、先に探求者を解決して《弱者選別》をサーチ
- B浮き、威光解決前)《弱者選別》をキャスト、探求者をサクってBBBBを加え、威光を解決
- BBB浮き)探求者のコピーのEtBを解決、《発掘》をサーチしてキャスト、探求者を出してEtBを先に解決、《Burnt Offering》をサーチ
- BB浮き、威光解決前)《Burnt Offering》をキャスト、探求者をサクってBRRを加え、威光を解決
- BRR浮き)探求者のコピーのEtBを解決、《約束の終焉》をサーチしてX=1でキャスト、《弱者選別》、《発掘》をコピーしてトークンをサクってBBBBを加えながら探求者を出してEtBを先に解決、《納墓》をサーチ
- BBBB浮き、威光解決前)威光を解決して探求者のコピーのEtBで《再活性》をサーチ、《納墓》で《星霜の学者》、《再活性》で学者を出してEtBで《Burnt Offering》と《納墓》を回収
- B浮き、学者威光解決前)《Burnt Offering》をキャスト、学者をサクってB7つを加え、《納墓》をキャストし《浅すぎる墓穴》を墓地へ落として威光を解決
- BBBBB浮き)学者コピーで浅すぎる墓穴と何かを回収して《浅すぎる墓穴》をキャストしてループ成立
最終的に《学者》が《浅すぎる墓穴》と《Burnt Offering》を拾えるため、無限マナ・無限トークンが成立します。その後はトークンは速攻を持つためアタックして勝っても良いですし、イナーラをキャストして起動型能力で無限トークンを使って相手のライフを0にしても、《呪文探求者》から《思考停止》をサーチしてライブラリを全て落としてから《タッサの神託者》を出して勝つことも可能です。
実際には、サーチ先のコンボパーツを元から握っていたり、墓地に落ちてしまっているなどの場合もあるため、ある程度柔軟に対応する必要があります。
- 《納墓》+リアニメイト呪文(再活性など)
《納墓》から《星霜の学者》、《再活性》などで釣り上げて威光解決前に納墓をリキャストすることで、《Burnt Offering》にアクセスし、再度釣り上げて次に《浅すぎる墓穴》を《納墓》で落とせば、《呪文探求者》のゴールと同様の状況を作ることができます。
ただし、《再活性》の場合は下記のルートとなるため、1BBBBマナとライフ14点が必要になります。
- 《納墓》で学者を落として再活性
- 学者解決、《納墓》と《再活性》回収、《納墓》キャストして《Burnt Offering》落とし
- 威光解決、《Burnt Offering》と《納墓》回収、《Burnt Offering》キャスト
- 《納墓》キャストして《浅すぎる墓穴》落とし、《再活性》キャストして学者…
《頑強》や《浅すぎる墓穴》だとまた異なるマナやライフの条件となります。
- 《タッサの神託者》+《汚れた契約》 / 《Demonic Consultation》
ライブラリをすべて追放できる呪文と《タッサの神託者》をくみあわせることで特殊勝利が可能です。
タッサの能力が《もみ消し》などで止まるとそのまま負けますが、UUBもしくは1UUBで成立する2枚コンボです。
- 《死の国からの脱出》+《思考停止》+《ライオンの瞳のダイアモンド》
脱出がある状態で《思考停止》を唱えることで、呪文を唱えるために必要な墓地枚数を大量に稼ぎ、LEDでそれをマナに変換することでライブラリのカードの枚数分までは《思考停止》をキャストできるようになるループを形成し、自分や相手のライブラリをすべて墓地へ送ることができます。
相手の墓地を落とすよりは、自分の墓地を落とし切ってLEDからのマナで《タッサの神託者》から勝つのが無難です。
脱出は着地してしまえば墓地の打ち消しなどで高い妨害貫通力を持つため単体で強力です。また、LEDはあくまでマナの確保手段なため墓地枚数次第で《水蓮の花びら》などでも代替できます。そのため、ある程度マナがあれば脱出+思考停止だけからでほぼ勝つことが可能です。
環境での位置付けとデッキのパワーレベル
デッキパワーレベルは10です。統率者戦最高クラスの速度を持つコンボを擁する強力な統率者であり、すぐにゲームを決める能力を持ちます。強力すぎる故にイナーラを統率者領域においただけで卓のヘイトを集めることになるため、レベル10のデッキの中では勝率としてはあまり振るわない場合もあります。
低予算化オプション
超高額カード(3万円以上)
- 《Timetwister》
- 《Wheel of Fortune》
- デュアルランド
- 《モックス・ダイアモンド》
- 《ライオンの瞳のダイアモンド》
高額カード(1万円〜3万円未満)
- 《伝国の玉璽》
- 《ヨーグモスの意志》
- 《金属モックス》
- 《魔力の墓所》
- 《意志の力》
- 《一つの指輪》
- 《裏切り者の都》
比較的高額なカード(3000円〜1万円未満)
- フェッチランド各種
- 《否定の力》
- 《宝石の洞窟》
- 《否定の契約》
- 《魂の洞窟》
デュアルランドについて
デュアルランドは強力な土地ですが、今回のデッキでは基本土地タイプなどに依存したギミックはないため、《色あせた城塞》や《禁忌の果樹園》などである程度代替していくことが可能です。
ただし、ライフの減りが速くなるため《むかつき》や《ネクロポーテンス》などのパフォーマンスが低下します。
Timetwister・WoFについて
リソースを吐き切るのが早いデッキなため、7ドロー呪文はリカバリー手段として有効です。
とはいえ、なかったらデッキが成立しないレベルではありません。極論《ボーラスの占い師》などのウィザードでもリソース回復は可能です。なおWoFは脱出と多少シナジーを形成します。
魔力の墓所・金属モックス・モックスダイアモンドについて
マナはコンボ成立速度の生命線なので、これらのマナ加速を行えるアーティファクトは可能な限り採用したいカードです。
ライオンの瞳のダイアモンドについて
まずLEDは脱出とのコンボパーツです。また、《悪魔の教示者》などのようなサーチ手段の解決前に使うことで、マナを出した後にサーチを行うことができ、これにより一気にコンボを畳み掛けることができます。
フェッチランドについて
フェッチランドはデュアルランドよりも色基盤の安定性が高く、土地枚数が少ない今回のリストでは必要な色に確実にアクセスする手段として強力です。微弱ながら脱出の墓地コストになる点も評価できます。
その他の候補カードについて
今回のリストは限りなくコンボ成立を最速にすることを追求していますが、ウィザードをコピーする威光能力は多くのシナジーを形成する可能性のある能力ですので、好みで様々なカードを試してみることをおすすめします。ここではいくつかおすすめのカードを紹介します。
- 《霊気の媒介者》
- パーマネントバウンスやドローなど汎用的な能力を持ったウィザード。妨害をどかしたりリソース源になったりと活躍できます。
- 《本質の変転》
- Uでクリーチャーをブリンクするインスタント。威光を誘発させるため、《呪文探求者》からのサーチカードのかさ増しが可能です。その代わりムーブの要求マナ数が増加します。
- 《毒の濁流》
- クリーチャーに対する強力な全体除去です。
- 《サイクロンの裂け目》
- バウンス呪文として。また超過により一発逆転を狙える可能性もあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は最速のコンボデッキの一角である儀式の大魔導師、イナーラEDHのデッキを紹介しました。
イナーラの特徴を際立たせるため、今回はあえて特にコンボ成立に特化したリストを紹介させていただきました。コンボ好きな方はぜひ使ってみてください。
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