【EDHデッキ紹介】虎の影、百合子【エルドレインの森 対応版】

今回は人気ジェネラルの虎の影、百合子EDHの紹介です。

人気の高いイラストと、軽量でありながらアドバンテージとダメージソースの両方を兼ね備えた優秀な統率者です。

統率者解説

《虎の影、百合子》が持つキーワード能力の上忍術は現状、唯一百合子のみが持つ特別なキーワード能力です。通常の忍術と異なり統率者向けにデザインされており、統率者領域から直接場に出すことができます。

忍術で出せると最も嬉しいポイントは、唱える必要がないという点です。これにより、統率者領域から唱える際のルールである、2回目以降は唱えた回数につき2マナの追加コストがかかるルールに引っ掛かりません。つまり、上忍術で出す限りは何度除去されたとしてもUBを払えば出し直すことが可能です。これは一般的な軽量統率者の弱点である、序盤に除去された時の展開の失速を大きく抑制することができます。

もう一つの能力は自分の忍者になぜか各対戦相手がライフを失う《闇の腹心》ようなサボタージュ能力(プレイヤーに戦闘ダメージを与えた際に誘発する能力)を付与するというものです。忍者が複数体存在すれば重複して誘発するため、アドバンテージとダメージソースが両立した強力な能力だと言えます。

基本的には小粒な忍者を出して地道にライフを削りながらアドバンテージを稼ぎながら妨害するクロックパーミッション系のデッキに分類されます。誘発に教示者を合わせることで、10点以上のライフを失わせることもできる使い勝手の良いコンボも存在します。

デッキリスト

今回はサンプルリストとしてmoxfieldからKOKO氏らが作成したリストを拝借しました。

https://www.moxfield.com/decks/RM9tBCjdsEOUQQpleGI4Gw

— 統率者 1 —
《虎の影、百合子》

— クリーチャー 29 —
《メムナイト》
《羽ばたき飛行機械》
《フェアリーの予見者》
《創意の神童》
《鱗粉の変わり身》
《幽体の船乗り》
《千の顔の影》
《翼作り》
《変わり身ののけ者》
《フェアリーの夢泥棒》
《第四橋をうろつく者》
《信号の邪魔者》
《自在自動機械》
《月回路のハッカー》
《銀毛の達人》
《タッサの神託者》
《ダウスィーの虚空歩き》
《オークの弓使い》
《骨奪い》
《霧組のナーガ》
《霧刃の忍び》
《裕福な盗人》
《月の賢者の養子、ナシ》
《敵対工作員》
《深き刻の忍者》
《逆嶋の学徒》
《巧妙な潜入者》
《通りの悪霊》
《終末の影》

— インスタント 25 —
《断れない提案》
《渦まく知識》
《狼狽の嵐》
《渦巻く霧の行進》
《精神的つまづき》
《神秘の教示者》
《暗黒の儀式》
《Demonic Consultation》
《吸血の教示者》
《リム=ドゥールの櫃》
《汚れた契約》
《激情の後見》
《否定の力》
《四肢切断》
《絶望の力》
《精神壊しの罠》
《致命的なはしゃぎ回り》
《殺し》
《意志の力》
《誤った指図》
《水没》
《Contagion》
《幕切れ》
《徴用》
《徙家 /// 忘妻》

— ソーサリー 8 —
《親身の教示者》
《伝国の玉璽》
《悪魔の教示者》
《アガディームの覚醒》
《激しい恐怖》
《海門修復》
《時間への侵入》
《無限への突入》

— エンチャント 3 —
《神秘的負荷》
《闇の覆い》
《リスティックの研究》

— アーティファクト 8 —
《金属モックス》
《水蓮の花びら》
《魔力の墓所》
《モックス・アンバー》
《モックス・ダイアモンド》
《墓掘りの檻》
《呪われたトーテム像》
《無のロッド》

— 土地 26 —
《血染めのぬかるみ》
《陰謀団のピット》
《セファリッドの円形競技場》
《真鍮の都》
《清水の小道》
《統率の塔》
《風変わりな果樹園》
《溢れかえる岸辺》
《宝石の洞窟》
《島》
《マナの合流点》
《湿地の干潟》
《霧深い雨林》
《変遷の泉》
《天上都市、大田原》
《汚染された三角州》
《虹色の眺望》
《沸騰する小湖》
《死の溜まる地、死蔵》
《冠雪の島》
《冠雪の沼》
《沼》
《地底の大河》
《Underground Sea》
《新緑の地下墓地》
《湿った墓》

デッキ解説

基本的には忍術の種になる低コストかつブロックされづらいクリーチャー、百合子の能力と相性の良い忍者を持つクリーチャーを多く採用し、青黒の除去やカウンターを豊富に積み、ムーブの要求マナが少ないことから、マナ・アーティファクトはモックスを中心に採用し、無のロッドまで採用しています

妨害カードの採用傾向として、百合子の能力によるダメージソースになる重めのスペル(《徴用》や《Contagion》等)を優先的に採用しています。マナ基盤にそこまで余裕がない構築である一方で、カードアドバンテージを得やすい統率者なため、手札コストを必要とするピッチスペルも積極的に採用しています。

百合子とシナジーを形成するトップ操作カードとして相性の良い教示者カードは、ソーサリーである《親身の教示者》、《伝国の玉璽》まで積極的に採用しています。

忍術の種になるクリーチャーとしては0マナのアーティファクトクリーチャーがまず優秀で3種採用しています1マナ帯では最低でも飛行持ち+@相当を採用します。1マナの多相持ちは忍者としても扱えるため、種としても百合子のサボタージュ能力の誘発数稼ぎとしても使え、非常に勝手が良いと言えます。

多相を除く忍者は基本的に忍術を持っているため、百合子が出たあとに種クリーチャーから忍術して出していく形になります。

デッキ全体で最もマナコストが大きいカードは《終末の影》の15コストです。カードプールとしては16コストの《ドラコ》が存在しますが、あちらと異なり黒のカードであるため、黒のピッチスペルのコストとして切ることができる点で優れています。(1点の差はそこまで重要にならないことが多いです)また、《親身の教示者》などのクリーチャーが積み込めない教示者でおける中では、《無限への突入》の12コストになります。

勝ち筋としては百合子によるライフルーズで120点削り切るプランがメインになりますが、豊富なサーチや手札補充手段から、《タッサの神託者》のコンボも成立させやすいです。

個別カード解説

  • 《変わり身ののけ者》

おそらく最も評価が高い軽量クリーチャーです。種としては1マナでブロックされないため確実に忍術を成立させられ、多相を持つため百合子の着地後も仕事があります。飛行持ちと比べると、序盤の通りやすさはあまり変わらないものの、中盤以降は対戦相手全員が飛行持ちの生物を立てているケースも珍しくないため、やはりこちらが一貫して安定感がある印象です。

  • 《第四橋をうろつく者》

場に出た時にターン終了時までクリーチャー1体に-1/-1修正を与えます。一見地味な能力ですが、忍術で使い回すことによりタフネス1の相手クリーチャーに強力なプレッシャーを与えることが可能です。また、マイナス修正を与える除去と組み合わせることで除去可能な生物の射程範囲を広げるなど、痒いところに手が届く一枚です。1ターン目の相手のマナクリーチャーを焼きながら忍術の種として場に残るムーブが強力です。

  • 《オークの弓使い》

戦場に出た時と相手が追加でドローを行った時に動員1とティム(任意の対象に対する1点火力)を飛ばせる優秀なクリーチャーです。単体の性能は言わずもがな、相手のWheel of Fortuneや意外な授かり物といった7ドローを大きく抑制し、百合子によるリソース差を確実に広げることができます。また、ティムは相手のブロッカーをどかして百合子の攻撃を通しやすくでき、また動員で出るトークンも忍術の種に使えることから非常に相性が良いカードだと言えます。

  • 《千の顔の影》

種としても優秀な忍者で、忍術は2UUと重い代わりに攻撃中のクリーチャー1体のコピートークンを生成します。百合子は伝説のクリーチャーなためコピーしても無駄ですが、単純にサボタージュ能力を持つ忍者の数を増やすことで、自身も含め大きなアドバンテージを稼ぐことができます。また、このカード自体も忍術で使い回すことで、継続的にコピーを生み出すことも可能です。忍者以外にも《ダウスィーの虚空歩き》や、《敵対工作員》、《オークの弓使い》など強力なメタクリーチャーをコピーすることで対戦相手にプレッシャーを与えることが可能です。

  • 《逆嶋の学徒》

1Uの忍術で場にいるクリーチャーのコピー+忍者として場に出る忍者です。忍術を行う必要はあるものの1Uでコピークリーチャーになれる点(《幻影の像》などと比較すればわかるように)は優秀で、忍者を加えることで場にいる強力なクリーチャーのコピーとして役割を持ちつつも、百合子の能力とシナジーを形成できる点が強力です。

  • 《時間への侵入》

探査持ちの追加ターン呪文です。ターンごとに継続的なアドバンテージ源となる百合子は追加ターン呪文と相性が良いですが、マナ基板が強くないため一般的な5マナ以上の追加ターン呪文は使い勝手が悪いです。《時間への侵入》は最小ならUUUでキャスト可能な追加ターン呪文でありつつ、探査コストにより点数でみたマナコストが大きいため百合子の能力と相性が良い点も評価できます。

  • 《死の溜まる地、死蔵》

死蔵はBタップで畏怖を付与する特殊地形です。種クリーチャーとは異なり、ブロックを避ける手段が乏しい百合子にとっては非常に使い勝手の良い攻撃を通す手段として活躍します。アンタップインランドであるためムーブを阻害しない点も高評価です。

  • 《激しい恐怖》

忍者以外に-3/-3を与えることができる限りなく一方的な全体除去です。-3と少し射程距離は狭いものの、小型クリーチャーは百合子の能力にとって非常に邪魔な存在なため、自分のムーブを阻害せずに全体除去を行える点で優秀と言えます。

  • 《モックス・アンバー》

統率者の着地が容易かつ、上忍術で除去にも擬似的な耐性がある百合子では大体の状況でマナが出せるため強力です。

デッキの回し方

序盤は非常にわかりやすく、まず百合子の上忍術の種となるクリーチャーを着地させ、最速2ターン目には百合子を上忍術で出して1枚引くことを目指します。

その後は種を出し直して忍者を足しながら除去やカウンターを駆使して攻撃を通し、継続的にアドバンテージとダメージソースを確保することで有利に展開していけます。コンボデッキと異なり、百合子がいる状態で攻撃さえ通っていれば120点ある相手のライフを削り切れます。

序盤の注意点として、対面が序盤からクリーチャーを立ててくるデッキだと2回目以降の百合子の攻撃が非常に通しづらくなります。その場合は、除去などを使って攻撃を通しにいくか、変わり身ののけ者のように軽量でありながらブロック回避手段を持つ忍者(多相)クリーチャーの攻撃を百合子の横で通していくムーブが求められます。

いずれも、ヘイトの低いクリーチャーに除去を当てる、稼げるアドバンテージが減るなどといった問題があり、特に後者はブロック指定後に百合子を除去されると大きなテンポロスに繋がるリスクがあるため、やはりクリーチャーを並べてくるタイプの対面が多いと立ち位置は厳しくなります。とはいえ、一人でも盤面が空いていれば百合子の誘発型能力は各対戦相手のライフを削れるため、そこまで厳しい卓は多くないはずです。

後は百合子の能力を誘発できる状況を作りながら、教示者によるダメージソースの強化や、《タッサの神託者》によるコンボを目指します。教示者で重いカードをトップに置くムーブは一見使い勝手の良いコンボに見えますが、ソーサリーの教示者を使う場合は、そのターンの百合子のヘイトが上がり除去を当てられる可能性があがるため注意が必要です。(最悪、何も意味のない重いカードをトップに積み込んだだけになってしまいます

インスタントの教示者であれば、百合子の能力が誘発したときに解決前に使うことで、安全にダメージを稼ぐことが可能です。とはいえ、百合子はある程度地道に(運にも頼りながら。そのために平均マナコストをあげています)ライフを削っていくムーブが求められます。教示者を使って半端に削りにいくことには慎重になるべきです。

キープ基準

ここではいくつか初手ハンドの例や考え方を紹介します。

  • ハンド例1
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土地2、《水蓮の花びら》、《信号の邪魔者》、《狼狽の嵐》、《虚空歩き》、《月の賢者の養子、ナシ》

キープです。1ターン目における上忍術の種と、カウンター、置物妨害まであり、文句なしのキープです。マナ基盤が土地2枚とペタルなのは少なく感じるかもしれませんが、手札だけで百合子まで確定していれば、百合子から追加の土地は引き込んでいける前提で良い場合が多いです。

  • ハンド例2
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土地2、《墓掘りの檻》、《呪われたトーテム像》、《水没》、《幕切れ》、《裕福な盗人》

マリガンです。序盤から置いていける優秀な置物が多いですが、種が見えないため息切れが見えます。デッキには重い忍者や妨害が多く積まれているため、トップから序盤のムーブを引き込みにいける期待値は高くありません。初手で百合子着地まで確定できることは必須です。

  • ハンド例3
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土地4、《親身の教示者》、《盗賊ギルドの処罰者》、《霧組のナーガ》

基本的にはギリギリキープですが、フリーマリガンが残っている、手番が遅いなどといった場合にはマリガンを検討するべきです。見えている範囲では妨害が教示者からしか確保できず、また序盤からクリーチャーに立たれると百合子を通すことも難しい手札なためです。

コンボ・ギミック解説

  • 百合子+教示者・《渦まく知識》

これまでも書いてきたように、百合子の誘発型能力に教示者や《渦まく知識》(手札にコストの大きいカードがある場合)を合わせることで、10点以上のライフルーズを狙うことができます。

  • 《タッサの神託者》+《Demonic Consultation》・《汚れた契約》

《タッサの神託者》の誘発効果の解決前に、上記のいずれかを唱え、ライブラリを全て追放することで特殊勝利します。UU + B or 1Bの軽量コンボなため、マナ基盤が太くはない百合子であっても無理なく成立させることが可能です。

  • 《無限への突入》+《タッサの神託者》

《無限への突入》を唱え、解決するとライブラリが1枚になるため、《タッサの神託者》の能力で特殊勝利が可能な状態になります。《無限への突入》は基本的に百合子の誘発型能力で12点ルーズを狙うためのカードですが、《敵対工作員》や《裕福な盗人》などの働きによって《無限への突入》をキャストできる状況になる場合があります。

なお、《タッサの神託者》は特殊勝利専用のカードと思われがちですが、百合子では限定的なトップ操作カードとしても使用できます。

環境での位置付けとデッキのパワーレベル

デッキパワーレベルは大体8だと考えます。統率者として最上位ではありませんが、ほとんどの強力な統率者と渡り合える水準だと言えます。

青黒で豊富な妨害手段を持ち、軽量でアドバンテージ源とフィニッシャーを兼ね備えられる統率者であるため優秀な妨害置物も採用していることから、典型的なコンボ主体のデッキとの相性は良い部類です。似たタイプの統率者にはエドリックが挙げられますが、統率者が除去をもらっても上忍術のおかげでテンポロスが小さく失速しづらい点で大きく差別化できています。

一方で、百合子の攻撃が通りづらい生物(特にサイズが大きいものや飛行を持つもの)が多い卓では苦戦を強いられます。また小粒なクリーチャーを並べるデッキであるため、百合子が十分なアドバンテージを稼ぐ前に《毒の濁流》などの全体除去をもらってしまった場合や、強力なクリーチャー否定が成立する卓(《The Abyss》や《Moat》を使うプレイヤーがいる、統率者が《スランの医師、ヨーグモス》であるなど)は非常に厳しく急激に失速する場合があります。そういったケースではなんとか原因を取り除くか、もしくは百合子を諦めてタッサコンボを目指すことも選択肢になります。

総じて、デッキパワーレベルよりもデッキのアーキタイプの相性による影響を受けやすい統率者といえます。

低予算化オプション

超高額カード(3万円以上)

  • 《Underground Sea》
  • 《モックス・ダイアモンド》

高額カード(1万円〜3万円未満)

  • 《魔力の墓所》
  • 《金属モックス》
  • 《伝国の玉璽》
  • 《意志の力》

比較的高額なカード(3000円〜1万円未満)

  • 《敵対工作員》
  • 《オークの弓使い》
  • フェッチランド各種
  • 《激情の後見》
  • 《否定の力》
  • 《無のロッド》
  • 《吸血の教示者》
  • 《悪魔の教示者》
  • 《宝石の洞窟》
  • 《マナの合流点》

デュアルランドについて

デュアルランドは強力な土地ですが、2色のデッキであればなくても致命的な問題にはなりません。その他のアンタップイン条件が満たしやすい特殊地形で代替可能です。その際、《汚れた契約》でライブラリをすべて追放するためにカードの重複が許されていない(同じ基本土地は複数枚採用しない方が良い)点は注意です。

モックス・ダイアモンド・魔力の墓所・金属モックスについて

これらのカードは序盤の展開を加速させるのはもちろんですが、百合子は能力的にトップからカードを捲っていく都合、手札に土地がダブつきやすいです。そうした場合にテンポを高められるこれらのカードは使い勝手の良いマナ加速手段です。そのためできるだけ採用したいカードではあります。採用できない場合には残念ながら代替できるようなカードはありませんが、2枚とも不採用とする場合はデッキのマナカーブを見直す必要があるかもしれません。

フェッチランドについて

2色デッキであり、トリプルシンボル以上のカードはほぼ採用されていないため基本的に色事故は起きづらいデッキだと言えます。しかしフェッチランドはデッキ圧縮が行える点から、百合子のダメージソースとしての期待値を少し高めることができる点が評価できます。

一方で、環境的には《敵対工作員》などのメタカードも存在するため、抜くことによるメリットも確かに存在します。手にいれるのが難しい場合は、不採用にして代わりの特殊地形を採用しましょう。

意志の力・否定の力について

百合子は通常のデッキと比べカードアドバンテージに余裕があるデッキであるものの、マナ基盤は脆弱です。そのため、ピッチスペルのようにカードアドバンテージをテンポに変えられるカードは非常に相性が良いです。

これらのカード採用することが難しい場合、代替カードはできるだけ軽量な打ち消し呪文にすることをおすすめします。(《唱え損ね》、《呪文貫き》、《もみ消し》など)

激情の後見について

基本的な考え方は上記の《意志の力》・《否定の力》と同じですが、こちらは百合子が場にいる時間の長さを考えると、カードが少ない状況でも百合子を守ったり、相手を妨害する手段として優れているため、基本的には《意志の力》・《否定の力》よりも優先的に採用したいカードであると言えます。

吸血の教示者・伝国の玉璽・悪魔の教示者について

トップに置くタイプの教示者は百合子と強力なシナジーを形成しているため、ほぼ必須級の優先度であると言えます。《悪魔の教示者》は特別なシナジーこそ形成しないものの、そもそも最強クラスのサーチカードであり、《タッサの神託者》のような軽量コンボを搭載しているデッキでもあるため同じく強力です。

これらの採用が難しい場合は、これらに代わり百合子とシナジーを形成できるカードで代替することをおすすめします。(具体的には、《巻物棚》、《師範の占い独楽》、《水晶球》など)

オークの弓使いについて

個別カード解説でも書いたように、《オークの弓使い》は単体のカードパワーに留まらず、百合子とも非常に相性の良いカードです。採用が難しい場合は軽量の除去(致命的な一押し、サイクロンの裂け目)などで代替することをおすすめします。

マナの合流点・宝石の洞窟について

フェッチランドやデュアルランドと同様に、これらのカードは抜いても色事故が著しく増えることはありません。同様にある程度は代替可能です。ただ、この2枚に限った話ではありませんが、汚れた契約の構築条件を満たすために、比較的強い特殊地形を上から順番に採用していっている節があるため、高価な特殊地形の採用を絞りすぎると、ある程度評価の怪しい土地を採用せざるをえなくなる懸念があります。

無のロッドについて

《無のロッド》は環境にもよるものの、基本的には多くの相手に対して刺さる強力なメタカードです。多くのデッキでマナ・アーティファクトや《波止場の恐喝者》等による宝物生成ギミックが搭載されているため、それらに対して強力な回答になります。ただ、よりカジュアルな卓では刺さらない(あるいは逆に刺さりすぎる)場合もあります。直接的な代替はあまり現実的ではないため、《減衰球》など間接的にメタりたいデッキに刺さるカードに切り替える方針が良いです。

敵対工作員について

《敵対工作員》はサーチに対して強力なメタカードです。また、比較的一般的なコンボであるタッサコンボを搭載しているため、同じコンボを搭載したデッキの妨害に成功すれば、妨害しながら一気に勝ちに近づくことができる場合もあります。

百合子との特別なシナジーを形成しているわけではないため、抜いてもメインギミックは問題なく動作します。ただ、特別な効果を持ったカードなため代替は難しいです。

その他の候補カードについて

忍者の選択肢は多くないため、基本的には種になる軽量クリーチャーの入れ替えと、妨害カードの入れ替えの検討が可能です。

《霊廟の放浪者》はよりコンボデッキの対策に重きを置く場合有効です。逆に、こちらのコンボを増やすのであれば《最後の審判》がおすすめです。《最後の審判》で《タッサの神託者》をトップに仕込み、百合子の能力で引き込めば勝ちにいくことが可能です。コンボ要素を強めるのであれば、《ギラプールの希望》は種になり、妨害の貫通にも使えるため評価が上がります。

また、今回のリストでは妨害札を主にクリーチャー除去とカウンターで構成したため、一度厄介なエンチャントやアーティファクトの置物(《The Abyss》や《Moat》など)が着地してしまうと処理しづらい構築になっています。そういったカードの対策を意識するのであれば、《蒸気の連鎖》や《暗記+記憶》などの汎用除去を増量することをおすすめします。

https://edh.jp/wp-content/uploads/2023/10/スクリーンショット-2023-10-18-0.23.46-1024x301.jpg

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は非常に人気の高い統率者である百合子EDHのデッキを紹介しました。

個人的に百合子は《時間への侵入》が通ったら大体勝っている印象があるので、追加ターンを増やせばいいのではと思っていましたが、忍者や忍者の種、妨害など、かなり枠が厳しいのと、序盤はバランスの良い手札を求められるシビアさのあるデッキなのだと改めて認識しました。

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