【統率者戦】15,000円でちゃんと回る安価構築(原初の征服者、エターリEDH)

概要

今回はEDH安価構築の第三弾です。第一弾、第二弾はこちらからどうぞ。

上記の記事では予算7000円ほどでデッキパワーレベル6〜7の構築を目指しましたが、今回は予算を15000円まで引き上げることで同じレベル帯でも統率者や搭載できるギミックの選択肢を広げました。このくらいの予算感であればかなり多様性のあるデッキ構築が可能なため、今回はその構築例を示していきます。

こうした取り組みが少しでもゲームへの参入障壁を引き下げ、新規プレイヤーが増えることに貢献できたら嬉しいです。

デッキ紹介

統率者紹介

今回は《原初の征服者、エターリ》を統率者として採用します。

《原初の征服者、エターリ》は7マナ7/7トランプルの巨大なクリーチャーで、多人数戦に適性の高い非常に強力なETB能力を持ちます。戦場に出るだけで4枚のカードをランダムに踏み倒して唱えるため膨大なアドバンテージを獲得できます。また、パワー7は3回の攻撃で統率者ダメージによる敗北条件を満たせる点で優秀です。

9マナ+緑ファイマナで変身した後は《荒廃鋼の巨像》に近い性能となり、一度の攻撃で毒カウンターによりプレイヤーを敗北させることが可能で、本体が7マナ、変身に9マナとコストは非常に重いもののそれに見合う性能だと言えます。実際には《原初の征服者、エターリ》のETB能力でマナが伸びることが多いので、変身コストは確保しやすいです。

《原初の征服者、エターリ》は単体でも高い性能を持つ統率者ですが、特に相性が良いカードとして《食物連鎖》があります。

《食物連鎖》で《原初の征服者、エターリ》を追放することで実質的に統率者税 – 1マナで《原初の征服者、エターリ》をリキャストできるためエターリの強力なETB能力を2度3度と使い回すことが可能です。めくれたクリーチャーもマナに変換できるため連鎖がつながりやすく、そのまま勝ち切れることも多いです。

《食物連鎖》は今の相場感だと1500円〜2000円程度のカードで、予算的にはギリギリです。ただ、《原初の征服者、エターリ》の統率者としての魅力である捲り能力を何度も使えるギミックは、せっかくこの統率者を選ぶなら是非搭載したいです。

デッキリスト

構築したデッキリストはこちらです。moxfield様でも公開しています。

https://www.moxfield.com/decks/8buLqCOelUWYEpakPyH7gA

— 統率者 1 —
《原初の征服者、エターリ》

— クリーチャー 26 —
《運命を紡ぐ者》
《辺境地の罠外し》
《オークの木こり》
《東屋のエルフ》
《極楽鳥》
《ボリアルのドルイド》
《エルフの神秘家》
《フィンドホーンのエルフ》
《ジョラーガの樹語り》
《ラノワールのエルフ》
《ほくちの壁》
《難問の鎮め屋》
《旅するサテュロス》
《二重詠唱の魔道士》
《顔壊しのプロ》
《猿人の指導霊》
《不死身、スクイー》
《宝捕り》
《エルフの指導霊》
《ガイアの眼、グウェナ》
《刻み角》
《失われた業の巫師》
《トラブルメーカー、ジャクシス》
《カットスローツのレイダー、ローズ》
《背信のオーガ》
《炎の踊り手、リオーニャ》

— ソーサリー 12 —
《ギャンブル》
《炎の儀式》
《メタモルフォーゼ》
《溶鉄の複製》
《双つ身の炎》
《自然の知識》
《三顧の礼》
《熱の陽炎》
《ピールの気紛れ》
《スカイシュラウドの要求》
《変わり樹の共生》
《異界の進化》

— インスタント 16 —
《稲妻》
《赤霊破》
《引き裂く流弾》
《秋の帳》
《有毒の蘇生》
《夏の帳》
《俗世の教示者》
《削剥》
《捨て身の儀式》
《発熱の儀式》
《ティボルトの計略》
《混沌のねじれ》
《煮えたぎる歌》
《呼応した呼集》
《紅蓮操作》
《内にいる獣》

— エンチャント 7 —
《楽園の拡散》
《繁茂》
《ケンリスの変身》
《血染めの月》
《はびこり》
《食物連鎖》
《野生の律動》

— アーティファクト 10 —
《太陽の指輪》
《秘儀の印鑑》
《友なる石》
《グルールの印鑑》
《衝動のタリスマン》
《呪われた鏡》
《完全化の杖》
《面晶体の記録庫》
《ストーンスピーカー・クリスタル》
《スランの発電機》

— 土地 28 —
《統率の塔》
《水晶鉱脈》
《出現領域》
《風変わりな果樹園》
《森》14
《カープルーザンの森》
《モスファイアの谷》
《山》6
《根縛りの岩山》
《作戦室》

デッキ解説

デッキの値段は15,162円(2024年5月30日現在)です。今回のデッキは《原初の征服者、エターリ》をとにかく早期に着地させることを目指しており、標準的なマナ加速のパターンとしては《エルフの神秘家》系のマナクリーチャーからスタートした1→3→5→7、《秘儀の印鑑》系の2マナアーティファクトが初動の1→2→4→7あたりで、いずれにせよ大体4ターン目には《原初の征服者、エターリ》が着地します。着地後に展開をサポートするカードも多く搭載しており、5ターン目には勝負が決められることが多いはずです(※捲り次第)

このため、展開にはややムラがありますがデッキパワーレベルは7です。

また今回は安価構築ではあるものの、主要なギミックは予算制限のない構築とそれほど変わりません。主な差分は統率者が着地するまでのターンで、《宝石の睡蓮》や《ジェスカの意志》といった大幅なマナ加速手段が軒並み予算オーバーである影響が大きいです。

コンボ・ギミック紹介

原初の征服者、エターリ+食物連鎖

《原初の征服者、エターリ》を《食物連鎖》で追放してマナを得ることで、繰り返し《原初の征服者、エターリ》をキャストできるギミックです。唱え直すたびに統率者税が増えるためループは成立しませんが、莫大なカードアドバンテージを獲得することができます。

ただ、このギミックを利用すると統率者税が大きく膨らむため、勝ちきれなかった場合にはその後の統率者のリキャストが困難になる点には注意が必要です。

1回限定の《食物連鎖》のようなカードとして《メタモルフォーゼ》も採用しています。

食物連鎖+不死身、スクイー

《食物連鎖》と追放領域から唱えられる《不死身、スクイー》を組み合わせたクリーチャー専用の無限マナが成立するコンボです。《食物連鎖》で《不死身、スクイー》を追放し、《不死身、スクイー》を唱え直すだけです。無限マナが成立すれば《原初の征服者、エターリ》と《食物連鎖》で全プレイヤーのライブラリの呪文を唱えられるため、そのまま勝利に繋げることができます。

二重詠唱の魔道士+双つ身の炎 系

インスタント・ソーサリーをコピーする《二重詠唱の魔道士》によって《双つ身の炎》などのクリーチャーのコピートークンを生成する呪文をコピーすることで、《二重詠唱の魔道士》の無限トークンが成立するコンボです。トークンは速攻を持つため、そのまま攻撃すれば無限ダメージです。

《双つ身の炎》以外にも《溶鉄の複製》、《熱の陽炎》でも成立するコンボです。2枚コンボとしては軽く、勝ちに直結する点で強力なコンボです。また、《原初の征服者、エターリ》EDHでは《双つ身の炎》などで《原初の征服者、エターリ》をコピーすることで強力なETB能力を使い回せるため、コンボパーツがノイズになりづらい点も高評価です。

個別カード紹介

炎の踊り手、リオーニャ

《炎の踊り手、リオーニャ》は《異界の進化》や《俗世の教示者》で勝つために引っ張ってくるカードの筆頭です。コピーを生成する誘発型能力で《原初の征服者、エターリ》をコピーすることで、膨大なアドバンテージを獲得することができます。1度でもインスタントやソーサリーを唱えていれば、相当勝ちに近づくことができます。

背信のオーガ

《背信のオーガ》は赤を代表する強力なマナ加速手段です。統率者戦の初期ライフが40点あるのをいいことに10マナ以上生み出せるカードで、《俗世の教示者》などのクリーチャーサーチ手段でマナ加速を行う場合はこのカードが筆頭候補となります。

ガイアの眼、グウェナ

《ガイアの眼、グウェナ》は3マナ2/3でクリーチャー専用の有色2マナを生める非常に優秀なマナクリーチャーです。《原初の征服者、エターリ》を唱えるとアンタップするため、統率者着地後の展開のサポートにも大きく貢献します。特に《食物連鎖》を使った展開では統率者をリキャストするたびに《ガイアの眼、グウェナ》がアンタップするため、単体でマナ基盤を強力にサポートしてくれます。

辺境地の罠外し

《辺境地の罠外し》は使い勝手の良い置物対策で、起動型能力である点と裏面はアドバンテージが取れる能力である2点が大きな魅力です。特に前者については、《原初の征服者、エターリ》の天敵である《倦怠の宝珠》に触れる点が優秀で《再利用の賢者》との差別化ポイントでもあります。今回のリストでは唯一クリーチャーで置物に触れるカードなため、状況によってはサーチ先の候補となります。

血染めの月

《血染めの月》は非常に強力な特殊地形メタカードです。特に赤を含まない2色デッキや3色以上のデッキに深々と刺さります。こちらは土地基盤には基本土地を多く採用している上、統率者も赤マナのみで唱えられるため、デッキ構造上ほとんど影響を受けません。予算が許せば《月の大魔術師》も採用したかったです。それほどに強力な効果です。

完全化の杖

《完全化の杖》は基本的には3マナのマナアーティファクト兼ドローエンジンで、それ以外にも様々な能力を持ちます。どの能力もライフ効率はよくないものの、《森の知恵》などが予算的に厳しい中では継続的なドローエンジンは希少です。また、様々な状況が考えられる統率者戦においては、自分のパーマネントの破壊や増殖も出番がある能力です。

水晶鉱脈

《水晶鉱脈》は安価構築でも採用できる大変希少な2マナランドです。《邪神の寺院》などと比べると相当使い勝手が良く、生け贄によるアドバンテージ損も《原初の征服者、エターリ》を出すためであれば気になりません。土地サーチ先の選択肢にこのカードがあるおかげで、4マナ盤面の《ピールの気紛れ》から次ターンに7マナを目指せます。

その他のマナ加速手段の採用方針

4ターン目の7マナ到達を目指すため、マナ加速手段は以下の方針で採用しました。

  • 1マナ帯:原則全て採用(例:《エルフの神秘家》、《繁茂》)
  • 2マナ帯:有色かつ即1マナ出せるカードのみ採用(例:《秘儀の印鑑》、《自然の知識》)
  • 3マナ帯:2マナ加速+@のみ採用(例:《失われた業の巫師》)
  • 4マナ帯:2マナ以上加速+@のみ採用(例:《スカイシュラウドの要求》、《スランの発電機》)

この方針のため、一般的によく見る《耕作》や《砕土》などが入らない構築となっています。実際、《失われた業の巫師》などの2マナ加速であれば、最悪3ターン目初動でも《猿人の指導霊》などを1枚絡ませれば4ターン目に7マナに到達できる可能性がある点で大きな差があります。

例外的に《旅するサテュロス》は《繁茂》や《はびこり》などとのシナジーを考慮し、出たターンにマナが出ませんが採用しています。また、一時的な加速手段は予算に見合うものはすべて採用しています。(例:《炎の儀式》、《猿人の指導霊》)

その他の考慮事項としては、1マナのマナクリーチャーを多く採用したことで火力(《紅蓮地獄》や《オークの弓使い》など)に対してかなり脆弱になるため、2マナ以上の加速手段ではタフネス1のクリーチャー(例:《ソンバーワルドの賢者》)の採用は避け、高タフネスのマナクリーチャーや土地加速、マナアーティファクトなどにマナ基盤を分散しています。

改良の方針

基本的なギミックはすでにほぼ採用できているため、予算を引き上げてデッキパワーを高める場合の方向性としては「打ち消し耐性を高める」と「着地ターンを早める」の2点が重要になってきます。今回は予算オーバーでしたが、コスパの良いカードを何枚か紹介します。

打ち消し耐性を高める

打ち消し耐性を獲得するためのカードとしては以下のカードがおすすめです。

  • 《魂の洞窟》
  • 《喜ぶハーフリング》
  • 《偏向はたき》

中でも特に強力なのは《魂の洞窟》です。このカードを採用するなら合わせて《輪作》なども採用し、積極的にアクセスできる構築に整えていくことを検討したいところです。

着地ターンを早める

着地ターンを早めるためのカードは予算をかけただけ強力なカードを採用できますが、今回は大体5000円以下に絞って紹介します。

  • 《ヘルカイトの狩猟者》
  • 《ジェスカの意志》
  • 《狩りをするヴェロキラプトル》
  • 《魔力の櫃》

実質3マナ以上伸ばせるカードが多く、3ターン目に統率者が着地できるゲームがかなり増えるはずです。《ヘルカイトの狩猟者》は実質的な加速としては1マナ分ですが、統率者税を気にせず出せる点や、《原初の征服者、エターリ》の捲りが弱かった場合にも次ターンに再度出し直せる点で線が太く優秀です。

まとめ

今回の記事では15000円で構築した《原初の征服者、エターリ》EDHを紹介しました。個人的にデッキパワー6〜7あたりの構築としてはかなりちょうど良い予算感だと思います。今回の記事を通じて、統率者戦って安く組んでも結構楽しめそうなフォーマットだなと、感じていただけたら嬉しいです。

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