【EDHデッキ紹介】巨大なるカーリア【エルドレインの森 対応版】

今回は巨大なるカーリアEDHの紹介です。

2011年に初めて発売された統率者セットで登場し、現在でも高い人気を誇るマルドゥカラーの統率者です。

統率者解説

MTG初の統率者セットで登場した《巨大なるカーリア》は、1RWBの4マナ2/2飛行の人間・クレリックで、カーリアが対戦相手を攻撃する度に手札から天使・デーモン・ドラゴンクリーチャーのいずれかをタップ状態かつカーリアが攻撃しているプレイヤーと同じプレイヤーを攻撃状態で戦場に出す踏み倒し能力を持ちます。

天使・デーモン・ドラゴンにはカーリア自身よりも重い生物が多く存在し、元々速攻を持たないが強力なサボタージュ能力(対戦相手へ戦闘ダメージを与えた時に誘発する能力)を持つクリーチャーなどをカーリアによって踏み倒し、攻撃状態で出せることでテンポアドバンテージを稼ぎ出す能力だと言えます。つまり以下の2つの要素の組み合わせです。

  • 手札からの踏み倒し
  • 攻撃状態で戦場に出る

しかし、3色4マナは統率者としては決して軽い方ではなく、またカーリア自身が速攻を持たず除去耐性もないことから、奇襲性が低く除去にも弱いため、強く使うには工夫が必要です。天使・悪魔・ドラゴンの中で、特に悪魔には勝ちに直結するような強力なクリーチャーも存在するため、実際には強力なクリーチャーを手札に抱えていなかったとしても、対戦相手視点ではカーリアから何が出てくるかわからないため、カーリア側が予定しているムーブよりも高いヘイトを買ってしまう場合が多いです。また、カーリアから出すクリーチャーは基本的に重く素出しに向かないため、相手視点ではカーリアさえ除去すれば大きくこちらの動きを阻害することができることが期待できるため、カーリア側を大きく失速させることができる妨害しやすい要素として位置付けられてしまうことすらあります。

ただし、カードの性能が上がった現代ではマルドゥカラーでカーリアの能力に頼り切った構築をせず、汎用的なコンボや他の強力な能力を持ったクリーチャーを使ってヘイトを分散させることでカーリアを通しに行ったり、カーリアを妨害されても勝ちを目指すことが可能です。その際、カーリアは重くなく使い勝手の良い踏み倒し手段として、他の統率者と大きく差別化できます。

デッキリスト

今回はサンプルリストとしてmoxfieldから人気デッキビルダーのBadDog氏が作成したリストを拝借しました。

https://www.moxfield.com/decks/3Nb5DWbEDUWcZOA4bzbr_Q

— 統率者 1 —
《巨大なるカーリア》

— クリーチャー 19 —
《コーリスの子》
《エスパーの歩哨》
《ドラゴンの怒りの媒介者》
《敏捷なこそ泥、ラガバン》
《スカークの探鉱者》
《ドラニスの判事》
《堂々たる撤廃者》
《オークの弓使い》
《波止場の恐喝者》
《厚顔の無法者、マグダ》
《イーオスのレインジャー長》
《スカイクレイブの亡霊》
《敵対工作員》
《二重詠唱の魔道士》
《猿人の指導霊》
《破滅を囁くもの》
《溜め込む親玉》
《穢れた血、ラザケシュ》
《血の取引者、ヴィリス》

— インスタント 19 —
《悟りの教示者》
《冥途灯りの行進》
《オアリムの詠唱》
《沈黙》
《税収》
《Burnt Offering》
《弱者選別》
《暗黒の儀式》
《納墓》
《Sacrifice》
《吸血の教示者》
《紅蓮破》
《陰謀団の儀式》
《霊廟の秘密》
《汚れた契約》
《最後の賭け》
《Saw in Half》(切断マジック)
《偏向はたき》
《むかつき》

— ソーサリー 13 —
《伝国の玉璽》
《再活性》
《信仰無き物あさり》
《ギャンブル》
《上機嫌の解体》
《炎の儀式》
《悪魔の教示者》
《悪魔の意図》
《セヴィンの再利用》
《不気味な教示者》
《法務官の掌握》
《Wheel of Fortune》
《災難の輪》

— エンチャント 4 —
《動く死体》
《死の国からの脱出》
《ネクロマンシー》
《ネクロポーテンス》

— アーティファクト 19 —
《金属モックス》
《宝石の睡蓮》
《ライオンの瞳のダイアモンド》
《水蓮の花びら》
《魔力の墓所》
《モックス・ダイアモンド》
《オパールのモックス》
《ポータブル・ホール》
《魔力の櫃》
《師範の占い独楽》
《太陽の指輪》
《願い爪のタリスマン》
《秘儀の印鑑》
《友なる石》
《厳かなモノリス》
《聖列のタリスマン》
《耽溺のタリスマン 》
《一つの指輪》
《ボーラスの城塞》

— 土地 25 —
《古えの墳墓》
《乾燥台地》
《Badlands》
《血の墓所》
《血染めのぬかるみ》
《魂の洞窟》
《真鍮の都》
《裏切り者の都》
《統率の塔》
《出現領域》
《溢れかえる岸辺》
《禁忌の果樹園》
《宝石の洞窟》
《神無き祭殿》
《特別観覧室》
《マナの合流点》
《湿地の干潟》
《Plateau》
《汚染された三角州》
《聖なる鋳造所》
《沸騰する小湖》
《Scrubland》
《新緑の地下墓地》
《吹きさらしの荒野》
《樹木茂る山麓》

デッキ解説

デッキ図解
画像=EDH.JP

デッキ全体の動きを図解すると上記のような形です。カーリアは《溜め込む親玉》などの勝利に直結するクリーチャーの踏み倒し手段であることにより、非常にヘイトが高く、優先的に除去されやすい統率者です。今回の構築ではカーリアの高いヘイトを活かして、他の強力なシステムクリーチャーのヘイトを分散させる役割を統率者に持たせています。

マルドゥカラーは強力な一時的なマナ加速やフィニッシャーを擁するため、統率者に依存しなくとも容易に勝利することができるギミックを多く搭載することができます。そのため、例えばカーリアが除去される代わりに《堂々たる撤廃者》などを残すことができれば、《暗黒の儀式》等の一時的なマナ加速手段から《むかつき》等で安全に勝ちにいくことができます。

マナ基盤

カーリアは踏み倒し手段であるため、一応マナ基盤に分類しています。

マナ基盤はマナアーティファクトが中心で、土地枚数は25枚とかなり絞り込んでいます。25枚というと、ドローエンジンなしでは2枚程度で止まる期待値で、一般的な構築よりも少なめです。今回のリストはマナファクトと合わせて4マナ出れば十分なアクションを取ることができるデッキである点と、7ドローやその他のドローエンジンが存在する点から、この程度の枚数になります。

基本的にはカーリアが通せても通せなくても回る構築になっており、カーリアが徹底的に除去されたとしても問題なく勝つことができるようになっています。そのためカーリアに速攻や除去耐性を付与することはせず、単体の性能でプレイすることを前提としています。

カードアドバンテージ

《死の国からの脱出》、《むかつき》、《ボーラスの城塞》とそれらにアクセスできる豊富なサーチ手段から、大量のカードアドバンテージを稼ぎ出すことができます。また、《Wheel of Fortune》などの7ドロー呪文は、リソース回復手段としてはもちろん、墓地肥やしとしても機能するため強力です。ルーティング手段は統率者が妨害された際に手札にダブついた重いクリーチャーを墓地に落としてから再活性などで釣り上げられるため、相性が良いコンセプトだと言えます。

フィニッシャー

フィニッシャーにあたる、カーリアに対応したクリーチャーが全体で4体というのは少ないようにも感じるかもしれませんが、下記の理由から実際にはそれでちょうど良いイメージです。

  • 相手に自分の手札は見えないため、実際には踏み倒しに対応しているクリーチャーを握れていなくても、カーリアのヘイトは変わらない
  • カーリアを通せそうな時にはサーチしてくれば良い(確定で通る状況なら《穢れた血、ラザケシュ》を《悪魔の教示者》でサーチするようなムーブも考えられる)

上記を踏まえると4枚はある程度素引きも期待できる枚数でありつつ、重ね引きしてムーブが重たくなりすぎることも少ない枚数だと言えます。

また、最終的な勝ち筋は《二重詠唱の魔道士》+《Saw in Half》(切断マジック)コンボが担当しています。詳細はコンボ解説の項目で解説します。

妨害

妨害は下記の3種類に大別されます。現在マルドゥーカラーは特にシステムクリーチャーに恵まれており、いずれも粒揃いです。

  • 《ドラニスの判事》などのシステムクリーチャー
  • 《紅蓮破》などの対象除去・カウンター
  • 《沈黙》系のカード

今回、《紅蓮破》などの対象除去やカウンターは最小限です。《スカイクレイブの亡霊》と《冥途灯りの行進》の2枚はほぼ万能除去で、黒のサーチ手段から必要な時に引っ張って来れることから、《倦怠の宝珠》などの勝つために除去する必要のあるカードに当てていければ十分です。カウンターや除去による妨害に対しては今回は《沈黙》系が回答になります。

個別カード解説

クリーチャーカード

  • 《破滅を囁くもの》

3BB 6/6飛行トランプルのパワフルなフィジカルに、2点ライフをペイすることで諜報2する強力な起動型能力を持つ強力なデーモンです。この能力にはトップ操作と墓地肥やしの2つの役割があり、特に後者で使うことが多いです。統率者戦は初期ライフが40であるため一度に40枚近くの墓地を増やすことができ、死の国からの脱出にアクセスできればそのまま勝利することができます。また、後述の他のカーリアに対応しているクリーチャーと比べると比較的軽く、素出しも検討しやすいです。

  • 《溜め込む親玉》

召集持ちの5BBB 7/6飛行のドラゴンで、EtBで擬似的な悪魔の教示者のような誘発型能力を持ちます。カーリアEDHでは過去には《ルーン傷の悪魔》という、そのまんまEtB《悪魔の教示者》のデーモンが採用されていたこともありましたが、それよりも使い勝手が向上したカードです。

マルドゥカラーのコンボは2枚コンボで即勝ちではなく、チェインコンボを経由して勝つため、1マナの差が命運を握る場合も多いです。そのためサーチしたカードに召集が付く能力は見た目よりもコンボ成立に大きく寄与する強力な能力だと言えます。

また、《ルーン傷の悪魔》と比較すると、サーチしたカードを手札ではなく追放領域に加えられる点も魅力で、統率者戦でしばしばある「どう考えても今仕掛けても勝てない状況」ではサーチするだけして抱えておくムーブを安全にこなせます。手札に抱えておくと、ハンデスや意外な授かり物などで妨害を受ける可能性があります。もちろん、自分のWoFなどとも相性が良いです。ただし注意点として、相手にドラニスの判事がいるとサーチしたカードが使えない点は注意が必要です。とはいえ判事は多くのデッキでヘイトが高くそのうち除去されるので、追放領域に置いておけばいずれは使えるようになることが多いです。

  • 《穢れた血、ラザケシュ》

5BBB 8/8飛行トランプルで2点ライフを支払い他のクリーチャーをサクることで、デッキからカードをサーチすることができるおそらく統率者戦で最も強力な能力を持ったデーモンです。

マルドゥカラーでは基本的に脱出や《ボーラスの城塞》、《むかつき》など1枚で始動できるコンボが多く搭載されているため、ひとまず1枚サーチできれば勝ちに行くことが可能です。ただ、実際にはライフが削れていたり墓地が肥えていなかったりと1枚で勝てない場面も多くあり、そういった場合に2枚以上サーチが可能なラザケシュが非常に線の太い形でコンボを始めることができます。例えば《波止場の恐喝者》サーチを経由してマナを伸ばしたり、《上機嫌の解体を経由して1マナ6点ペイするだけで3枚サーチを行うなど、めちゃくちゃなムーブが可能です。

また、盤面のクリーチャーの数によっては高い妨害耐性を獲得することが可能な点も魅力で、ラザケシュの起動型能力はインスタントタイミングで使える万能サーチなため、偏向はたきや紅蓮破をサーチしてくることで妨害にも対応できます。

  • 《血の取引者、ヴィリス》

ヴィリスは5BBB 8/8飛行に B+2点ライフペイでクリーチャー1体に-1/-1修正を与える起動型能力と、ライフを失うたびにその点数分のカードを引く常在型能力を持つ、こちらも統率者戦のファッティを語る上では欠かせない強力なデーモンです。

基本的には非常にライフ効率の良いドローソース兼相手のシステムクリーチャー(《ドラニスの判事》、ラヴィニア、《敵対工作員》等)への回答として使うことになります。本体の重さに対してB+2点ペイで2ドローというのは、単体で稼げるアドバンテージに限界がありそこまで爆発的ではないと言えます。ただ、ドローにより《Sacrifice》などのマナ加速手段にアクセスできれば一気にカードアドバンテージに変換することが可能である点でやはり強力です。

また、踏み倒しによりテンポアドバンテージを稼げるカーリアとの相性が非常に良く、対戦相手視点でカーリアの妨害を検討する際には、確実にヴィリスの存在を警戒する必要があります。

また他のデーモンやドラゴンが一部のシステムクリーチャーがいると機能を停止してしまうのに対して、ヴィリスはそれらを除去性能も備わっているドローエンジンである点も魅力の一つです。デッキ全体を通じて、基本的に《ドラニスの判事》やラヴィニア、《敵対工作員》、《ダウスィーの虚空歩き》といったクリーチャーが盤面にいると勝てません。

インスタント・ソーサリーカード

  • 《セヴィンの再利用》

2Wで3マナ以下のパーマネントを釣り上げるソーサリーで、4Wのフラッシュバックで唱えた場合は釣り上げるパーマネントの数が2つに増えます。釣り上げに対応している範囲が非常に広く、土地やシステムクリーチャーを釣り上げるのも良いですし、《動く死体》や《ネクロマンシー》を釣り上げれば大きなクリーチャーの釣竿に変換することも可能です。ただ何より強いのは、やはり《死の国からの脱出》の釣り上げです。《破滅を囁くもの》などの大量墓地肥やしから、フラッシュバックでこの呪文を唱え、脱出+何かを釣り上げることで勝ちにいくことができます。

  • 《コーリスの子》

W 1/1でサクるとこのターンに失ったライフ分回復します。このリストでは《破滅を囁くもの》、ヴィリス、《むかつき》、《ボーラスの城塞》、《ネクロマンシー》など、1ターンで大量のライフを失うカードが多く搭載されており、その多くはもっとライフがあればもっと回るカードたちです。コーリスの子は、それらの1枚始動のカード群とシナジーを形成し、それぞれのコンボ成立確率を引き上げる強力なカードだと言えます。

また、統率者戦では何かの拍子に10点や20点といったライフが削られることがしばしばあるので、シナジーを抜きにしても仕事はあります。

キープ基準

序盤はマナアーティファクトでマナ基盤を整えつつ、《エスパーの歩哨》や《ドラニスの判事》といったシステムクリーチャーで相手にプレッシャーをかけていきます。7ドローが2枚と《ネクロポーテンス》が搭載されているため、リソースを一気に吐き出し切ってからそれらでリソースを回復できると有利に立ちやすいです。特に土地枚数が25枚しかないため、3ターン目以降のリソース回復手段がないとマナ基盤が脆弱になりがちです。

カーリアはデコイとしての利用をかなり意識して回すべきで、有効なムーブがない場合に置いてヘイトを稼ぐことで自分のシステムクリーチャーを生かして相手のムーブを遅らせることに使い、逆にカーリアを通しに行きたいときは盤面のヘイト的にすぐ除去されるような状況にないことを確認する必要があります。まれにカーリアの最速着地を目指すのが強い手札が回ってくる場合もありますが、そういったハンドはカーリアが除去されてしまうとぐだぐだになりがちなため慎重にキープする必要があります。

コンボを目指す上では、カウンター合戦に対応するほどはカウンターを積んでいないため、基本的には《堂々たる撤廃者》や《沈黙》などの相手の妨害を阻害するカードを添えてスタートするべきです。もしくは、相手が十分に準備が整う前に仕掛ける必要がありますが、このデッキでは高速でコンボが成立させることにそこまで重点を置いていないため、そういったケースは少ないと思います。

キープ判定例

ここではいくつか初手ハンドの例と考え方を紹介します。

  • ハンド例1

土地4、《オークの弓使い》、《吸血の教示者》、《エスパーの歩哨》

キープです。1Tからシステムクリーチャーを設置してプレッシャーをかけられ、《吸血の教示者》から7ドローなどのリソース回復手段へアクセスすることも可能です。また、7ドローと《オークの弓使い》がシナジーを形成している点も評価ができます。どちらかが妨害を受けてしまう可能性が高いですが、歩哨がいるため序盤からやりとりが発生すればリソース回復は容易です。

  • ハンド例2

土地2、《師範の占い独楽》、《伝国の玉璽》、《紅蓮破》、《太陽の指輪》、《むかつき》

キープです。3BBRを揃えて《紅蓮破》構えて《むかつき》を目指す形になります。土地2+独楽+ソルリングでマナ基盤は潤沢で、速度を目指すなら玉璽から《暗黒の儀式》などをサーチすれば3ターン目から仕掛けていけます。独楽があるので通らなかった場合も比較的リカバリーしやすい点も評価できます。

  • ハンド例3

《宝石の洞窟》、土地2、《ポータブル・ホール》、《炎の儀式》、媒介者、《スカークの探鉱者》

マリガンです。(先手でなければ)2T統率者が確定していますが、カーリアから踏み倒すクリーチャーがなく、リソースの回復手段もなく、2Tのムーブまでに媒介者の誘発も狙いづらいため非常に厳しいハンドです。

コンボ・ギミック解説

二重詠唱の魔道士+Saw in Half+@(オークの弓使い 等)

任意のクリーチャーを対象に唱えた《Saw in Half》(切断マジック)をキャストしたあと、解決前にEtBでスタック上のインスタント・ソーサリーをコピーする《二重詠唱の魔道士》をキャストしSaw in Halfをコピー、《二重詠唱の魔道士》を対象にすることで、《Saw in Half1回の解決につき、2回のコピーが行われるため、1/1の二重詠唱の無限トークンと無限スタック上《Saw in Half》のコピーを生み出すことができます。ただ、それだけだと次のターンに二重詠唱のトークンが召喚酔いでアタックできないため、相手のターンにインスタントタイミングでコピーを生成して次の自分のターンで攻撃して勝ちにいくか、もしくは余ったSaw in Halfの対象は二重詠唱でなくても良いため、《オークの弓使いをコピーすれば無限ダメージで勝利できますし、《オークの弓使い》がいない場合も、途中でインスタント呪文をキャストすればそれを無限にコピーできます。また、《Saw in Half》のキャストより前に《法務官の掌握》を唱えてスタック上に存在していれば、対戦相手のライブラリをすべて追放することも可能です。

(このコンボは元のデッキリストのコメント欄でも何度か質問されていたため、ぱっと見ではわかりづらいコンボかなと思います。)

オークの弓使い+Wheel of Fortune もしくは 災難の輪

《オークの弓使い》が存在する状態で7ドロー呪文をキャストすることで動員21と21回ティムを飛ばすことが可能です。そのまま勝ちとはいきませんが、盤面を制圧することが可能です。相手の7ドロー呪文でも同一のコンボが成立します。

溜め込む親玉 1枚始動

EtBで万能サーチが可能な《溜め込む親玉》から《Saw in Half》(切断マジック)をサーチすることで次々にカードをサーチするギミックを使った1枚初動のコンボです。

《溜め込む親玉》のEtBでSaw in Half、《Saw in Half》で《溜め込む親玉》を破壊してコピー、2枚サーチにより《Burnt Offering》と《死の国からの脱出》、《Burnt Offering》で《溜め込む親玉》をサクり、8マナ追加、《死の国からの脱出》で《Saw in Half》でさらに《溜め込む親玉》をコピー。ここまでくれば後は《破滅を囁くもの》、《コーリスの子》にアクセスすればデッキすべてを唱えられるようになるので、前述のコンボなどで勝利することができます。

このコンボの強力なポイントは、《溜め込む親玉》の招集を付与する能力により必要なマナが少ない点があります。《Saw in Half》は《溜め込む親玉》をタップすることで最大でも無色2マナで唱えられ、その後の《Burnt Offering》も《溜め込む親玉》のコピーをタップすることで唱えられるます。つまり《溜め込む親玉》+無色2マナから勝てるわけです。

その他のコンボ

このリストの特徴として、上記の《二重詠唱の魔道士》のコンボを除いて基本的には有限のストームコンボデッキとなっており、無限コンボに発展するコンボはほとんど搭載されていません。そのため《法務官の掌握》で相手のライブラリから勝ち筋を引っ張ってくることも多いです。

環境での位置付け

デッキパワーレベル

デッキパワーレベルは8です。カーリアは決して最上位の統率者ではありませんが、周辺カードのカードパワーの上昇により攻撃時の誘発型能力が非常に強力な統率者として、他の統率者と十分な差別化が実現しています。また、ゲームを決めるような強力なカードが多く搭載されたコンボデッキです。

相性の良いアーキタイプ

今回の構築はマルドゥのターボコンボ型の構築にカーリア要素を追加したことでミッドレンジに戦える丸みを獲得したようなアーキタイプになっています。そのため、基本的に自分よりも線が細いデッキとは比較的相性が良いです。例として虎の影、百合子EDHなどが該当します。

相性の悪いアーキタイプ

青を含まないミッドレンジデッキであるため、やはり基本的にはターボ型のコンボデッキや、コントロールとは相性が悪いです。例えばイナーラEDH(ターボ型のコンボデッキ)や、梓EDH(土地軸のコントロールデッキ)などが該当します。

低予算化オプション

今回のリストをゼロから組んだ場合、2023年12月13日時点での相場におけるデッキ価格は約43万円です。EDH.JPの「低予算化オプション」では、アーキタイプの基本的なコンセプトを変更することなく、できるだけ高額なカードを使わずに安価に抑えた構築を紹介します。(基本的にリスト全体で5万円程度で構築しています)

低予算版リスト

低予算リストのデッキ価格は国内相場で55,306円(2023年12月13日時点)です。

リストはmoxfield様でも公開しています。

https://www.moxfield.com/decks/9-YYCNsWoU6WISExYdIF1Q

— 統率者 1 —
《巨大なるカーリア》 参考価格: 170円
— クリーチャー 17 —
《コーリスの子》 参考価格: 10円
《エスパーの歩哨》 参考価格: 1,500円
《ドラゴンの怒りの媒介者》 参考価格: 120円
《ドラニスの判事》 参考価格: 1,080円
《堂々たる撤廃者》 参考価格: 500円
《ダウスィーの虚空歩き》 参考価格: 780円
《堕落した庄察頭、ロソ》 参考価格: 80円
《厚顔の無法者、マグダ》 参考価格: 30円
《スカイクレイブの亡霊》 参考価格: 240円
《敵対工作員》 参考価格: 4,000円 => (PR)メルカリでは3000円台の出品もあり安かったです
《二重詠唱の魔道士》 参考価格: 30円
《猿人の指導霊》 参考価格: 80円
《退廃的なドラゴン》 参考価格: 90円
《破滅を囁くもの》 参考価格: 250円
《溜め込む親玉》 参考価格: 30円
《穢れた血、ラザケシュ》 参考価格: 380円
《血の取引者、ヴィリス》 参考価格: 400円
— インスタント 21 —
《悟りの教示者》 参考価格: 920円
《冥途灯りの行進》 参考価格: 180円
《オアリムの詠唱》 参考価格: 730円
《沈黙》 参考価格: 800円
《剣を鍬に》 参考価格: 50円
《Burnt Offering》 参考価格: 90円
《弱者選別》 参考価格: 225円
《暗黒の儀式》 参考価格: 28円
《納墓》 参考価格: 680円
《汚物の雨》 参考価格: 280円
《Sacrifice》 参考価格: 800円
《吸血の教示者》 参考価格: 2,800円
《紅蓮破》 参考価格: 400円
《赤霊破》 参考価格: 310円
《陰謀団の儀式》 参考価格: 320円
《霊廟の秘密》 参考価格: 120円
《汚れた契約》 参考価格: 750円
《最後の賭け》 参考価格: 380円
《真夜中の一撃》 参考価格: 30円
《Saw in Half》(切断マジック) 参考価格: 780円
《むかつき》 参考価格: 1,000円
— ソーサリー 13 —
《再活性》 参考価格: 1,780円
《信仰無き物あさり》 参考価格: 30円
《ギャンブル》 参考価格: 350円
《上機嫌の解体》 参考価格: 50円
《炎の儀式》 参考価格: 200円
《悪魔の教示者》 参考価格: 2,880円
《悪魔の意図》 参考価格: 380円
《双つ身の炎》 参考価格: 50円
《セヴィンの再利用》 参考価格: 90円
《不気味な教示者》 参考価格: 1,100円
《法務官の掌握》 参考価格: 450円
《災難の輪》 参考価格: 250円
《深淵への覗き込み》 参考価格: 80円
— エンチャント 5 —
《動く死体》 参考価格: 300円
《死の国からの脱出》 参考価格: 990円
《ネクロマンシー》 参考価格: 800円
《ネクロポーテンス》 参考価格: 480円
《息詰まる徴税》 参考価格: 700円
— アーティファクト 15 —
《水蓮の花びら》 参考価格: 1,600円
《ポータブル・ホール》 参考価格: 180円
《魔力の櫃》 参考価格: 3,900円 => (PR)メルカリでは状態悪いものが安かったです
《太陽の指輪》 参考価格: 40円
《願い爪のタリスマン》 参考価格: 180円
《秘儀の印鑑》 参考価格: 30円
《ボロスの印鑑》 参考価格: 30円
《友なる石》 参考価格: 30円
《オルゾフの印鑑》 参考価格: 10円
《ラクドスの印鑑》 参考価格: 50円
《確信のタリスマン》 参考価格: 40円
《聖列のタリスマン》 参考価格: 40円
《耽溺のタリスマン 》 参考価格: 120円
《彩色の灯籠》 参考価格: 30円
《ボーラスの城塞》 参考価格: 80円
— 土地 28 —
《乾燥台地》 参考価格: 1,200円
《戦場の鍛冶場》 参考価格: 100円
《荒廃踏みの小道》 参考価格: 700円
《血の墓所》 参考価格: 1,750円
《血染めのぬかるみ》 参考価格: 2,280円
《陽光昇りの小道》 参考価格: 250円
《コイロスの洞窟》 参考価格: 30円
《真鍮の都》 参考価格: 440円
《統率の塔》 参考価格: 10円
《出現領域》 参考価格: 25円
《風変わりな果樹園》 参考価格: 10円
《禁忌の果樹園》 参考価格: 280円
《神無き祭殿》 参考価格: 800円
《特別観覧室》 参考価格: 690円
《湿地の干潟》 参考価格: 1,050円
《針縁の小道》 参考価格: 400円
《平地》 参考価格: 9円
《反射池》 参考価格: 540円
《聖なる鋳造所》 参考価格: 1,199円
《砕かれた聖域》 参考価格: 1,440円
《無声開拓地》 参考価格: 750円
《観客席》 参考価格: 230円
《産業の塔》 参考価格: 180円
《硫黄泉》 参考価格: 190円
《日没の道》 参考価格: 501円
《沼》 参考価格: 9円
《勝者の大霊堂》 参考価格: 180円
《新緑の地下墓地》 参考価格: 1,300円

低予算化に伴いモックスや《魔力の墓所》などの強力なアーティファクトが不採用となっているため初速は遅くなっているものの、基本的なデッキコンセプトやデッキの回し方に変わりはありません。初速が遅くなった代わりに《息詰まる徴税》や《堕落した庄察頭、ロソ》など、線の太いマナリソース源を足しているため、よりミッドレンジで立ち回りやすくなっています。

コスパカード

ここでは低予算構築を考える上でコスパの良いカードを何枚か紹介します。

  • 《深淵への覗き込み》

通れば勝てる80円のソーサリーです。

  • 《勝者の大霊堂》(多人数ランド)

元のリストだと入る枠がありませんでしたが、統率者戦における2色地形としてはスペックが高く、それでいて安いためコスパ土地です。

高額カード一覧

EDH.JPでは単体で5000円以上※のカードを「高額カード」として分類しており、今回のリストにおける「高額カード」は以下です。

※ 多くのカードゲームで、レアリティに拘らない場合のトップレアの相場感を参考にした金額

《ライオンの瞳のダイアモンド》 60,000円 => (PR)メルカリでは5万円台の出品も多く安かったです
《モックス・ダイアモンド》 51,800円 => (PR)メルカリでは4万円台の出品も多く安かったです
《Wheel of Fortune》 31,800円
《裏切り者の都》 28,800円
《Badlands》 24,000円
《Plateau》 24,000円
《Scrubland》 20,000円
《魔力の墓所》 18,730円
《厳かなモノリス》 17,000円
《宝石の睡蓮》 12,000円
《金属モックス》 10,800円
《伝国の玉璽》 9,000円
《波止場の恐喝者》 8,980円
《一つの指輪》 8,910円
《オークの弓使い》 8,500円
《オパールのモックス》 8,330円
《古えの墳墓》 7,480円 => (PR)メルカリでは状態悪いものが安かったです
《宝石の洞窟》 6,980円
《敏捷なこそ泥、ラガバン》 6,000円
《魂の洞窟》 5,500円

ここでは高額カードの役割などについて解説します。

ライオンの瞳のダイアモンドについて

LEDの役割は脱出とのコンボパーツとしての役割と、大量ドローやサーチに合わせて起動することによるマナ加速としての役割が主です。前者に関しては、代用の効きづらいコンボパーツとしての役割だと言え、後者についても、複数枚の7ドローカードの採用や、ヴィリス、《ボーラスの城塞》などとの相性を考えると重要な用途であると考えます。

LEDは唯一無二の効果を持つ強力なカードですので、直接代替できるカードはありませんが、脱出とのコンボを強く意識するなら《燃え立つ調査》などが選択肢にあがります。一時的なマナ加速手段はすでにほぼ採用されているため、代替が難しいと言えます。

デュアルランドについて

デュアルランドは強力な土地です。特にカーリアでは、白系のカードで2-3マナ帯のダブルシンボルのカードを採用しているためマナ基盤の妥協は色自己に直結します。また、手札次第で早期にコンボをスタートすることがある点や、《むかつき》や《ネクロポーテンス》などライフリソースが重要である点を踏まえると、土地を妥協した場合のコンボ速度やアドバンテージの差は多くのデッキよりも影響を受けやすいと言えます。

ただ、デュアルランドは非常に高額なカードではあるため、手にいれることが難しい場合は基本土地や性能の比較的高い多色地形をバランスよく採用して代替することをおすすめします。なお、参考リストでは汚れた契約を採用しているため、同じ名称のカードの採用は避ける必要があります。

モックス・魔力の墓所・厳かなモノリスについて

これらのカードは序盤の展開を加速させるのはもちろんですが、《ボーラスの城塞》や《むかつき》との相性も良いカード群です。これらのカードは採用が難しい場合、特にむかつきのカードパワーが大きく下がるため、そちらも合わせて抜いた方が良いかもしれません。

代替としては、《通電式キー》系の軽量アンタップアーティファクトや、安価な中だと比較的パフォーマンスの良い《玄武岩のモノリス》等が考えられます。

宝石の睡蓮 について

カーリアは元々3シンボル4マナのクリーチャーなため、《宝石の睡蓮》のマナが過剰になることがあります。また、デッキのコンセプト自体カーリアの最速着地に重きを置いていないため、《宝石の睡蓮》の採用には検討の余地があります。とはいえ、2回目以降のキャストをスムーズにしつつ、カーリア自体場に出ればそれなりにヘイトを買うクリーチャーであるため、《宝石の睡蓮》自体も重要なカードであることに変わりはありません。また、0マナアーティファクトなため、チェインコンボ中にもノイズにならず使い勝手が良い点も魅力です。

不採用とする場合は、別途軽量のマナアーティファクト(印鑑系の2マナで1マナ伸びるアーティファクトなど)で代替することが考えられます。

オークの弓使い について

先述の通り、《オークの弓使い》はコンボパーツとして非常に大きな役割を担っており、高額カードの中でも非常に高い採用優先度を持っていると言えます。単体のカードパワーも高く、シナジー抜きにしてもさまざまな場面で活躍が期待できます。

ただ、もし採用が困難な場合は、コンボパーツとして勝ち筋になれるカードで代替することをおすすめします。二重詠唱とのコンボで無限の速攻トークンを生成できる《双つ身の炎》や、《Saw in Half》(切断マジック)のコンボで勝ち筋になれ、ある程度の汎用性もある《食肉鉤虐殺事件》などが候補になります。

魂の洞窟 について

《魂の洞窟》は打ち消しに対して強くでられる土地です。人間を指定することで、カーリアだけでなく《コーリスの子》や《ドラニスの判事》、《敵対工作員》など、主要なシステムクリーチャーの多くに対応するカウンター不可を付与する土地として非常に強力だと言えます。ただ、青が薄い卓ではあまり重要な土地ではないため、卓により評価は変わる土地だと言えます。

敏捷なこそ泥、ラガバンについて

《敏捷なこそ泥、ラガバン》は統率者戦でも1ターン目としては最高クラスの初動です。1マナでありながら毎ターン宝物トークンを継続的に生成することが可能で、アドバンテージも確保できます。《厚顔の無法者、マグダ》など、わずかながら宝物トークンとシナジーを形成するカードも採用されていることもあいまって、採用優先度は高い部類だと考えます。

1マナクリーチャーとしては他に類を見ない水準のパワーカードであるため、単純な代替は困難だと言えますが、近い役割では義賊、少し方向性が異なるところでは《セラの高位僧》などの採用が検討できます。

一つの指輪について

《一つの指輪》は現在統率者戦で高い採用率を誇るパワーカードです。構築戦と異なりライフリソースに余裕があるため、非常に優秀なドローソースとして機能します。

今回のリストは土地の採用枚数が少なく、軽量アーティファクトを多く採用しているため、手札アドバンテージを確保できる優秀なリソース源の重要度は非常に高いと言えます。

代替する場合、基本的に大幅な性能低下やなんらかのリスクが生まれることを考慮する必要があります。《闇の腹心》、《ファイレクシアの闘技場》、《夢の巣のルールス》など。

伝国の玉璽について

1枚でコンボの初動となるカードを豊富に搭載したデッキなため、それらの量増しができる万能サーチ手段は勝ちに直結する強力なカードだと言えます。

今回のリストではカーリアの踏み倒しに対応しているカードの採用枚数を絞っていることもあり、これらのカードの採用が難しい場合は、《ルーン傷の悪魔》など、カーリアの踏み倒しに対応したクリーチャーの採用が検討できます。

波止場の恐喝者について

《波止場の恐喝者》はマナソースとして非常に強力なクリーチャーです。また今回のリストではマグダを採用しているため、組み合わせることで《ボーラスの城塞》のリクルートに繋げることができるシナジーも存在し、採用優先度は高いです。

古えの墳墓・裏切り者の都について

無色2マナ出るこれらの土地は、今回のリストではマナアーティファクトを多く採用しているため非常に相性が良いカードです。ただ、これらに関してはそれぞれリスクを抱えたカードではあるため、有色土地に入れ替えることでムーブが安定する面もあります。

ただし2枚とも不採用とする場合、マナアーティファクトの使い勝手が低下するため、土地枚数などマナ基盤のバランスは見直したいです。

その他の候補カードについて

よりコンボ性能を高めたい場合、以下のような一時マナ加速や、追加のコンボパーツが役に立ちます。

  • 《ジェスカの意志》
  • 《双つ身の炎》
  • 《食肉鉤虐殺事件》

一方で、より妨害性能を高めたい場合には、マルドゥカラーには以下のような優秀な置物が存在します。

  • 《ダウスィーの虚空歩き》
  • 《息詰まる徴税》
  • 《盲従》
  • 《沈黙のオーラ》

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は昔ながらの統率者である巨大なるカーリアEDHのデッキを紹介しました。

個人的にカーリアはイラストが綺麗なのが非常に推しポイントです。初期イラも良いですが、ダブルマスターズのイラストも良さがありますよね。フォイルの光り方も綺麗ですし。

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