【統率者戦入門】色ごとの特徴・選び方

はじめに

この記事ではMagic: the Gathering 統率者戦(edh)における重要な要素である色について、色ごとの役割やカードプールに基づく特徴を紹介します。この記事を通じて、自分のプレイスタイルに合う色が見つかることを目指します。

統率者戦では統率者の固有色(統率者自体の色とテキストに存在するマナシンボル)に合うカードしか使用できないため、自分の使いたい色を決めることは統率者選びの方針決めにも役に立つでしょう。

色の役割・特徴

マジックにおける色は、フレーバーも含め公式では以下のように定義されています。

  • 白: 白は平和や秩序、法や正義を司る色となっている。攻守のバランスがとてもよく取られており、兵⼠や騎士、天使といった種族の多くが白のカードに属している。
  • 青: ⻘は水や⼤気、⾼度な知性や精神を体現している。多くの知識を用い相手の呪文を無力化し逆に利用したりというように、相手の攻めをかわしながら相手を追い込む戦い方を得意としている。
  • 黒:黒は死や恐怖、狂気の色を表している。あらゆる手段を用いて攻撃的な戦いを行う。時には自らの身を削ることも厭わない。
  • 赤:赤は火や稲妻、情熱を怒りを具現化したもの。勝利の為に立ちはだかるものを破壊し焼き尽くす、攻撃に特化した戦いを得意としている。
  • 緑:緑が司るのは成長や⽣命、荒々しい自然の力。自らを強化する手段を豊富に持ち、正面からの戦いでは多色を圧倒する力を持つ。
マジック基礎知識|スタートガイド|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

これらの色の特徴は原始的なマジックにおける色の概念ですが、現代においても色の役割は基本的に上記の定義に忠実です。天使を使いたいなら白、カウンターをしたいなら青、マス・デストラクションをしたいなら赤を使うのが良いでしょう。

色の特徴はイラストにも表れる

統率者戦における色ごとの特徴は次の通りです。

黒の特徴

統率者戦における黒はサーチと大量のカードアドバンテージを獲得することに長けた、非常に強力な色です。色として黒が優れているポイントは以下の2つです。

1. スーサイド戦術と統率者戦の相性が良い

統率者戦ルールでは初期ライフが40点あるため、《ネクロポーテンス》に代表されるような、黒の特徴であるライフリソースをカードアドバンテージに変換するカードは統率者戦では非常に高いパフォーマンスを誇ります。

2. ハイランダー構築におけるサーチカードの重要性

統率者戦はハイランダー構築であるため、いくら強力なカードであっても1枚しか採用できない都合上、カードをライブラリからサーチできるカードの存在は非常に重要です。特に黒には《悪魔の教示者》をはじめとしたカードタイプに制限のない万能サーチが豊富に存在します。

悪魔の教示者は元祖にして最強のサーチ呪文

一方で、ライフリソースを重視する戦略を取るという特徴から卓の中では主に戦闘におけるヘイトが向かいやすい側面もあります。統率者戦は無差別戦ですが、一番ライフを削っておくことで動きを阻害できる黒を使っているプレイヤーが標的になりやすいというわけです。

総じて、黒は統率者戦におけるエリートで、明確なパワーカードやサーチカードを使った安定感のあるムーブを好むプレイヤーにおすすめできる色です。

緑の特徴

統率者戦における緑は、最高水準のマナ基盤を持つクリーチャーのサポートに長けた色です。色として緑が優れているポイントは以下の2つです。

1. 統率者戦はマナ加速が重要なゲーム

統率者戦は多人数戦であり初期ライフも多いため、ロングゲームになる傾向にあります。そのため強力なマナ基盤を構築して多くの(あるいは大きな)アクションを取れるかどうかがゲームを有利に運ぶ上では非常に重要になります。緑には《ラノワールのエルフ》に代表される他の色には無い強力なマナ加速手段を持つため、マナ基盤を整えやすい色であるという特徴があります。

2. 統率者と相性の良いクリーチャーサポート

統率者は原則伝説のクリーチャーであるため、クリーチャーへのサポート手段(パンプアップ、除去対策、クリーチャーサーチ)が豊富な緑は統率者を生かしやすい色であると言えます。

一方で、緑を使う場合は自ずとクリーチャーの採用枚数が増加する傾向にあるため、《紅蓮地獄》や《毒の濁流》のような全体除去に弱くなる点には注意が必要です。こういった全体除去カードは多人数戦ではパフォーマンスが良い(たとえ自分を巻き込んでも対戦相手3人分の除去になる)ため、採用優先度が高い傾向にあります。

総じて、緑はやりたいことの方向性が明確な色で、シンプルでわかりやすいムーブを好むプレイヤーにおすすめできる色です。

青の特徴

統率者戦における青は、高い打ち消しや万能除去による高い妨害性能と、豊富なアーティファクトへのサポート手段を持つ強力な色です。色として青が優れているポイントは以下の2つです。

1. インタラクティブなゲーム展開に強い

青は《意志の力》に代表される打ち消し呪文を有する色です。単純な除去であれば異なる形(追放・破壊・ダメージ・バウンスなど)でそれぞれの色に存在しますが、打ち消しは色の役割を超えて青以外に存在するカードはほんの一握りで、ほぼ青の専売特許となっています。そして打ち消しは統率者戦の特徴であるプレイヤー間の応酬において非常に強力な権限を持ちます。

マナ不要で唱えられるカウンターはロマンでもある

また、打ち消し以外にも《サイクロンの裂け目》に代表されるバウンスによる除去も青の特徴の一つで、一時的ではありますが非常に幅広いパーマネントを対象に取れる点が強力です。

2. フォーマットのカードプールに強力なアーティファクトが多い

青のもう一つの特徴として、《作り直し》などのアーティファクトへのサポートが充実している点が挙げられます。統率者戦のカードプールには《太陽の指輪》や《一つの指輪》のような飛び抜けて高いカードパワーを持つアーティファクトが多く存在しており、それらは統率者戦を構成する重要な要素の一つでもあります。青はそういったアーティファクトを最大限使いこなすことに向いている色です。

青はあらゆるアクションに対して回答を持つことができる非常に器用な色である一方で、多人数戦であるが故に相手のすべてのアクションに対応することは難しく、カウンターやバウンスでは完全にゲームをコントロールし切ることはできない点には注意が必要です。総じて、青は他者へ干渉することを好むプレイヤーにおすすめできる色です。

白の特徴

統率者戦における白は強力なスタックスと妨害貫通力を持つ色です。色として白が優れているポイントは以下の2つです。

1. 多人数戦でのスタックスは影響力が大きい

白には《盲従》などの他の色と比べて明らかに強力なロック能力を持つカードが多く存在します。多人数戦におけるスタックスは各対戦相手に影響を与えることができるため、パフォーマンスが高い傾向にあります。実際、統率者戦では主に白を中心としたロックカードが複数枚並び、幾重にも妨害効果が積み重なることでゲームが停滞することもあります。

2. 対戦相手からの干渉をシャットアウトできる

《堂々たる撤廃者》に代表される相手からの干渉を一方的にシャットアウトする能力は他の色では非常に珍しく、限りなく白固有の役割に近いです。こうしたカードは、こちらのムーブを通す上では対戦相手からの干渉に対して打ち消し呪文などで1枚ずつ回答していくよりも、遥かに少ないコストで妨害を貫通することが可能です。

《テフェリーの防御》などの除去をまるごと避けられるカードも、相手からの干渉を受けないという点でコンセプトとしては近いです。総じて白はゲームに与えるインパクトが大きいカードを多く抱えている色で、卓に新しい仕組みを作る色であると言えます。

赤の特徴

統率者戦における赤は非常にユニークで、基本的には非常に強力な色です。色として赤が優れているポイントは以下の2つです。

1. 一時的な爆発力

《背信のオーガ》や《死の国からの脱出》などの一時的ではあるものの凄まじいパフォーマンスを持つカードを多く抱えているのが赤という色です。爆発力だけで言えばすべての色で最も大きく、コンボをメインとしたデッキでは非常に頼りになる色だと言えます。

2. 高い干渉力(条件付き)

《偏向はたき》や《紅蓮破》、《混沌のねじれ》など赤には実用レベルで非常に高い干渉力を持つカードが多く存在します。取れる対象も呪文からパーマネントまで幅広く、青にも引けをとりません。その代わりに使えるシーンが限定されていたり、なんらかのデメリットが存在していたりと癖が強いです。総じて器用さはないものの、なんらかの形で干渉できるという点では高い干渉力を持つ色であると言えます。

一応目の前の脅威はしっかり除去できる

赤はトリッキーでユニークなカードに溢れており他の色にはできない自己表現ができる色ですが、一方で爆発力があるが故に対戦相手から最も警戒されやすい色でもあります。

色の選び方

基本的な考え方

統率者戦ではカードプールが統率者の固有色に限定されるため、色が多いほどカードプールが広く、各色のパワーカードを採用することができるメリットがあります。一方で、コンセプトが明確な統率者であれば単色でも(場合によっては無色でも)十分なカードプールが存在するため、とにかく色が多ければ良いというものではありません。このあたりはグッドスタッフ的な構築を好むのか、尖ったコンボデッキを好むのかなどといったプレイヤーの志向でも変わってきます。

色ごとのデッキの例

EDH.JPで紹介しているデッキを例に、色選びがアーキタイプや構築に与えている影響を紹介します。

最高工匠卿、ウルザ(青単)

青単色の最高峰の統率者の1体である《最高工匠卿、ウルザ》EDHです。アーキタイプとしては青茶(青とアーティファクト)のスタックス・コンボデッキで、《静態の宝珠》などの無色のアーティファクトによるスタックス戦略とコンボを、青によるアーティファクトサーチやカウンターによって強力にサポートしています。

野生の心、セルヴァラ(緑単)

緑単色の強力な統率者の1体である《野生の心、セルヴァラ》EDHです。アーキタイプとしては統率者を軸にした高速なコンボデッキで、《ファイレクシアン・ドレッドノート》と統率者のシナジーを活かすために、緑によるクリーチャーサーチや除去対策によってコンボの成立速度や妨害貫通力を高めています。《野生の心、セルヴァラ》で大量のマナを出して重い呪文を唱えて勝つという、非常に明確な目標を持ったデッキです。

巨大なるカーリア(赤白黒)

マルドゥカラー(赤白黒)で非常に人気の統率者である《巨大なるカーリア》EDHです。アーキタイプとしてはミッドレンジのコンボデッキで、《巨大なるカーリア》で巨大なデーモンの着地による勝利を狙いつつ、それをデコイにしてコンボ成立を目指すことがコンセプトです。赤と黒により安定感と速度が両立している強力なコンボ要素を、白により対戦相手からの干渉をシャットアウトすることでサポートしています。

刃を咲かせる者、ナジーラ(5色)

5色統率者を代表する統率者の1体である《刃を咲かせる者、ナジーラ》EDHです。アーキタイプとしてはミッドレンジのグッドスタッフ(ジャンク)デッキで、統率者が単体で非常に戦闘能力を持つことを活かし、5色の様々な干渉手段やアドバンテージ源を採用してそれをサポートしています。

まとめ

以上になります。統率者戦における色にはかなり個人の趣味嗜好が色濃く出る印象があり、知った仲ならこの人はこの色好きそうだなとイメージできるくらいには特徴があります。ぜひ自分に合う色を見つけてみてください。

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