【EDHデッキ紹介】祖神の使徒、テシャール【Fallout対応版】

祖神の使徒、テシャールEDHの紹介です。《祖神の使徒、テシャール》はドミナリアで登場した歴史的な呪文を唱えるたびに軽量クリーチャーを釣り上げる強力なアドバンテージ能力を持った白単の統率者です。今回は統率者の特徴を活かした、アーティファクト軸のコンボデッキ構築を紹介します。

統率者解説

《祖神の使徒、テシャール》は3Wの4マナ2/2飛行の鳥・クレリックで、歴史的(アーティファクト、伝説、英雄譚)な呪文を唱えるたびに墓地からマナコスト3以下のクリーチャーを釣り上げる強力な誘発型能力を持ちます。歴史的にあたる属性の中でも特にアーティファクトは気軽に唱えられることから、アーティファクトを軸としたコンボデッキと極めて相性の良い統率者です。

本体はマナコストに対して貧弱なパワータフネスをしており、耐性もないため大体の除去に当たってしまいまうものの、シングルシンボルであるため無色マナの供給を厚くできる白茶系の構築ではゲーム1、2ターン目での着地は容易ですし、リキャストもしやすいです。また打ち消しではなく着地後の除去であれば、先に優先権を取れるので1度は能力を誘発するチャンスがある点も見逃せません。場合によっては、《ウルザの空戦艇、リベレーター号》で除去呪文を解決させることなくコンボを成立させることすら可能です

一方で、白単色であるが故にカードプールが狭く、便利なサーチカードや単体で膨大なアドバンテージを稼ぐことができるパワーカードの枚数には限りがある点には注意が必要です。そういった条件下で、どのように他のデッキと差別化していくかという観点は構築時に意識しておきたいポイントになります。

デッキリスト

今回紹介するリストはアーティファクト軸のターボ型コンボデッキです。デッキリストは以下です。moxfieldでも公開しています。

https://www.moxfield.com/decks/o24Rn8GzMUG3_RR4ICUrmQ

— 統率者 1 —
《祖神の使徒、テシャール》

— クリーチャー 34 —
《メムナイト》
《羽ばたき飛行機械》
《ファイレクシアの歩行機械》
《Shield Sphere》
《歩行バリスタ》
《心優しきボディガード》
《エスパーの歩哨》
《きらめく鷹》
《回収の斥候》
《雨ざらしの旅人》
《ギラプールの希望》
《聖戦士の奇襲兵》
《不屈の解体者》
《ドラニスの判事》
《エーテル宣誓会の法学者》
《堂々たる撤廃者》
《オズワルド・フィドルベンダー》
《剛毅なるサムワイズ》
《電結の荒廃者》
《ミリキン人形》
《マイアの回収者》
《世慣れた見張り、デルニー》
《第三の道のロラン》
《イーオスのレインジャー長》
《護衛募集員》
《スカイクレイブの亡霊》
《陰極器》
《回路の修理屋》
《ガラクタ潜り》
《ウルザの空戦艇、リベレーター号》
《蜃気楼のマイア》
《遺跡の回収者》
《屑鉄さらい》
《空中走査器》
《作業場の助手》

— インスタント 4 —
《悟りの教示者》
《沈黙》
《剣を鍬に》

— アーティファクト 33 —
《金属モックス》
《ギックスのかぎ爪》
《永遠溢れの杯》
《宝石の睡蓮》
《ライオンの瞳のダイアモンド》
《水蓮の花びら》
《魔力の墓所》
《モックス・アンバー》
《モックス・ダイアモンド》
《オパールのモックス》
《ポータブル・ホール》
《彩色の宝球》
《彩色の星》
《写本裁断機》
《妖術師のガラクタ》
《探検の地図》
《魔力の櫃》
《師範の占い独楽》
《叫び角笛》
《頭蓋骨絞め》
《太陽の指輪》
《魂標ランタン》
《バネ葉の太鼓》
《狂気の祭壇》
《厳かなモノリス》
《研磨基地》
《月銀の鍵》
《アシュノッドの供犠台》
《爆破基地》
《ファイレクシアの供犠台》
《クラーク族の鉄工所》
《神秘の炉》
《一つの指輪》

— 土地 28 —
《古えの墳墓》
《乾燥台地》
《Bazaar of Baghdad》
《爆発域》
《魂の洞窟》
《統率の灯台》
《皇国の地、永岩城》
《出現領域》
《溢れかえる岸辺》
《宝石の洞窟》
《高級市場》
《家路》
《発明博覧会》
《湿地の干潟》
《Mishra’s Workshop》
《平地》10
《虹色の眺望》
《ウルザの物語》
《吹きさらしの荒野》

デッキ解説

デッキ図解
画像=EDH.JP

デッキを図解しました。まずこのデッキにおける統率者は様々な役割を持った軽量クリーチャーを釣り上げることで、妨害やマナ加速、コンボパーツへのアクセスなどあらゆるアクションに繋げる、強力なカードアドバンテージ源として位置付けられます。墓地から生物を繰り返し釣り上げるというムーブを実現するためには、《研磨基地》などの墓地を増やす手段と、《クラーク族の鉄工所》などのパーマネントをサクる手段(サクリ台)の存在が不可欠です。それらに多くの枠を割くことで《きらめく鷹》や《空中走査器》といった、明らかに単体のカードパワーの低いカードもノイズになることなく運用することができるようになっています。

一方で、デッキの大半を上記のようなシナジーを形成し合うカード群で構成する都合上、一般的なデッキと比較して汎用的なカードを採用する枠はかなり少なくする必要があります。今回のリストでは《過大な贈り物》や《災厄の痕跡》などの汎用的な妨害札の採用を見送っています。汎用札に頼らずとも、《スカイクレイブの亡霊》や《イーオスのレインジャー長/》などの《祖神の使徒、テシャール》と相性の良いカードを繰り返し再利用して対応することを目指した構築になっています。

個別カード解説

クリーチャーカード

  • 《心優しきボディガード》

本体を生贄にすることで手軽にクリーチャーにプロテクションを付与することができる優秀なクリーチャーです。《ルーンの母》や《離反ダニ、スクレルヴ》などと比較して、召喚酔いの影響を受けることなく耐性を付与できる点で優れています。代わりに使い捨てである点がネックなカードですが、《祖神の使徒、テシャール》の能力で気軽に釣り上げることができ、釣り上げた先から起動できるため非常に使い勝手が良いです。ただし、《離反ダニ、スクレルヴ》は今回は採用こそしていませんが歴史的である点が強力なため、そちらの採用も前向きに検討できます。

  • 《メムナイト》等

《メムナイト》や《羽ばたき飛行機械》といった0マナのアーティファクト・クリーチャーは《祖神の使徒、テシャール》さえいれば実質0マナの《発掘》であり、ついでにおまけまで付いてくるため非常にパフォーマンスが高いカード群です。また、《クラーク族の鉄工所》や《ファイレクシアの供犠台》などのアーティファクトやクリーチャーをサクってマナを出せるサクリ台と組み合わせれば確実にマナ加速に繋がる点でもシナジーがあります。

  • 《空中走査器》

戦場に出た時1枚ドローするだけのシンプルなアーティファクト・クリーチャーです。下記のポイントを押さえており、トータルパフォーマンスに優れます。

  1. 歴史的である
  2. 《祖神の使徒、テシャール》の釣り上げに対応する3マナ以下である
  3. EtB/PiGでドローできる

上記を満たすカードは意外にも多くありません。今回のリストでは似た役割のカードとして《回路の修理屋》を採用しています。その他の候補としては《金属の使い魔》がいますが、EtB→場を離れた時→死亡時とわずかながらスペックが下がっている点に注意が必要です。

《祖神の使徒、テシャール》EDHは3コスト以下のクリーチャーを再利用するムーブにかなり安定感があるため、そのサイクルに新しいカードにアクセスできるカードを組み込めるかどうかが非常に重要です。そのためデッキにおいて上記のカード群はキーカードとして位置付けられます。

  • 《屑鉄さらい》

《屑鉄さらい》はアーティファクトが戦場から墓地におかれるたびに、よりコストの小さいアーティファクトを回収できる非常に高いループ性能を誇る強力なシステムクリーチャー、コンボパーツです。

《屑鉄さらい》を使ったループコンボのネックは、回収したアーティファクトをサクリ台でサクっていくと、だんだんと回収できるカードのマナコストが小さくなっていく能力の特性をクリアしてループを成立させる点にあります。メジャーな方法としては《マイアの回収者》のようなマナコストに制約のないアーティファクトを回収できるカードを組み込むことでループを成立させますが、《祖神の使徒、テシャール》EDHではその必要はありません。

《祖神の使徒、テシャール》の能力は0マナのアーティファクトをキャストするだけで3マナ以下のアーティファクトクリーチャーを釣り上げられるため、釣り上げたカードや《屑鉄さらい》自身を生贄にして能力を誘発させることで容易にループが成立します。(例:《祖神の使徒、テシャール》・《水蓮の花びら》・《狂気の祭壇》でループ成立)詳細はコンボ解説のパートへ。

  • 《イーオスのレインジャー長》

《イーオスのレインジャー長》は《きらめく鷹》などのコンボパーツにアクセスできる強力なEtB能力と自身を生贄にした強力な妨害能力を持ち、《祖神の使徒、テシャール》で再利用するカードとしてもってこいの性能です。自分で墓地に行けるためサクリ台にアクセスできていない状況でも再利用可能な点が優秀で、《祖神の使徒、テシャール》と組み合わせて実質毎ターン《沈黙》もどきの能力を使えるため、妨害貫通としても妨害札としても極めて優秀です。

  • 《ウルザの空戦艇、リベレーター号》

《ウルザの空戦艇、リベレーター号》は少し強くなった《蜃気楼のマイア》で、アーティファクト呪文をインスタントタイミングで唱えられるようになる能力を持ち、自身も瞬速です。今回のリストはアーティファクトの占める割合が非常に大きく、《ウルザの空戦艇、リベレーター号》があることで奇襲性の高いムーブが可能になります。

実際、リストの過半数がアーティファクトで、勝利に必要なコンボもアーティファクトのみで成立します。また、アーティファクトでないクリーチャーも《祖神の使徒、テシャール》の能力によって、アーティファクトを唱えれば墓地から釣り上げられるため、無理なくムーブに組み込むことが可能です。

コンボ以外にも《ウルザの空戦艇、リベレーター号》を経由して相手ターンに墓地の《イーオスのレインジャー長/》や《スカイクレイブの亡霊》などを釣り上げることで、強力に相手のムーブを妨害することができます。

アーティファクトカード

  • 《狂気の祭壇》

今回のリストでは《祖神の使徒、テシャール》の能力でクリーチャーを再利用するためにサクリ台を多く採用していますが、中でも《狂気の祭壇》は以下の3つの要素を持つ非常に相性の良いカードです。

  1. マナコストがかからないクリーチャーのサクリ台
  2. 墓地肥やし能力
  3. フィニッシャーになれる能力

特に2の墓地肥やし能力については白茶単という色の都合上、墓地を増やす強力なカード(《ゴルガリの墓トロール》や《縫い師への供給者》のような)がカードプールにあまりないため、非常に重宝します。

  • 《頭蓋骨絞め》

対象はタフネス1のクリーチャーに限定されますが、サクリ台とドローエンジンを兼ね備えたパワーカードです。今回のリストでは《メムナイト》等の0マナの歴史的なカードが14枚搭載されているため《頭蓋骨絞め》によって引き込んだカードをプレイして、コストにしたクリーチャーを《祖神の使徒、テシャール》で釣り直すなどして莫大なアドバンテージを稼ぎ出すことが期待できるカードです。

コンボ・ギミック解説

統率者+サクリ台+マイアの回収者系+墓地に行ける0マナアーティファクト

《狂気の祭壇》のような起動にマナがかからないサクリ台で《マイアの回収者》(《ガラクタ潜り》や《作業場の助手》、《屑鉄さらい》でも)を生贄にした際、0マナのアーティファクトを回収してプレイすることで、《祖神の使徒、テシャール》の能力で《マイアの回収者》を釣り上げられるため、ループが成立します(0マナのアーティファクトは《水蓮の花びら》やサクリ台でサクれる《メムナイト》などである必要があります)。

ループ成立時には、コンボパーツによって異なる結果が得られますが、(《狂気の祭壇》であればライブラリアウト、《水蓮の花びら》を拾えば無限マナなど)基本的にはそのまま勝てるパターンが多いです。

《祖神の使徒、テシャール》の能力のおかげで0マナアーティファクトがマナのかからない釣竿になるため、《クラーク族の鉄工所》のようなマナが出るサクリ台でなくてもループが成立する点が強力です。

統率者+クリーチャーサクリ台+きらめく鷹+0マナアーティファクト

EtBでアーティファクトをバウンスできる《きらめく鷹》をサクリ台と《祖神の使徒、テシャール》の能力でループさせるコンボです。1つ目の《マイアの回収者》系のコンボと比較すると、《きらめく鷹》本体が1マナと軽いためコンボ始動に必要なマナが少ない点や、0マナアーティファクトが《魔力の墓所》のように自壊手段を持たない場合でも成立する点で優れています。代わりに《きらめく鷹》自身がアーティファクトでないため、《電結の荒廃者》のようなアーティファクト専用のサクリ台ではコンボが成立しない点がマイナスです。

環境での位置付け

デッキパワーレベル

デッキパワーレベルは9です。

相性の良いアーキタイプ

白茶系のターボコンボデッキであるため、こちらより速度の遅いコンボデッキや、茶系のコンボに対して対策が薄くなりがちな特に緑、赤を含まないデッキ(《溜め込み屋のアウフ》、《波止場の恐喝者》)は比較的有利です。

EDH.JPで紹介したデッキの中だとウラブラスクEDHやウルザEDHなどが該当します。

相性の悪いアーキタイプ

墓地依存度の高いアーティファクトコンボであるため、それらに刺さるメタカードが豊富なデッキに対してはかなり不利になります。また、統率者への依存度が高いため、テシャールの除去手段が多いデッキも同様に苦手です。

EDH.JPで紹介したデッキの中だと梓EDHやヨーグモスEDHなどが該当します。

採用した高額カード一覧

参考までに、今回のリストをゼロベースで構築した場合の値段は約90万円(2024年4月2日時点)です。EDH.JPでは単体で5000円以上※のカードを「高額カード」として分類しており、今回のリストにおける「高額カード」は以下です。

※ 多くのカードゲームで、レアリティに拘らない場合のトップレアの相場感を参考にした金額

《Mishra’s Workshop》 337,500円
《Bazaar of Baghdad》 298,000円
《ライオンの瞳のダイアモンド》 63,000円
《モックス・ダイアモンド》 52,800円
《魔力の墓所》 21,600円
《厳かなモノリス》 20,000円
《宝石の睡蓮》 12,400円
《金属モックス》 11,700円
《オパールのモックス》 9,980円
《一つの指輪》 9,000円
《古えの墳墓》 6,980円
《魂の洞窟》 5,250円

単色デッキでありながら、アーティファクト中心のデッキであるため価格帯はかなり高いです。特に《Mishra’s Workshop》と《Bazaar of Baghdad》は高額ですが、今回のデッキではかなり相性が良いため、できれば採用したいカードとなります。このあたりのカードの採用可否によっては《探検の地図》の採用は再検討する必要があるかもしれません。

その他の候補カードについて

今回はコンボ成立をかなり優先した構築としましたが、白単ならではのスタックスや、《祖神の使徒、テシャール》による再利用適性の高いカードを採用し、ミッドレンジ帯に寄せるのも手です。その場合は以下のようなカードの採用が検討できます。

  • 《作り変えるもの》
    • サクリ台が必須ですが、マナコストを踏み倒して出せる能力なため、ドローよりもアドバンテージの質が高いです。展開力が高まります。
  • 《危険なマイア》
    • PIGで2点飛ぶクリーチャーで、使い回せば大型クリーチャーも焼けます。基本的には《スカイクレイブの亡霊》の方が強いものの、歴史的である点と、単純に盤面を触れるカードの採用枚数を増やす意味で採用価値があります。

コンボのサブプランとしては《オーリオックの廃品回収者》コンボや《太陽冠のヘリオッド》コンボがおすすめです。

まとめ

今回は白単でアーティファクトを軸とした統率者である祖神の使徒、テシャールEDHのデッキを紹介しました。白単でありながら高いコンボ性能を持つ統率者で、特に《マイアの回収者》などを使ったアーティファクトコンボが好きな方におすすめのデッキです。

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