【EDHデッキ紹介】ウィンドグレイス卿【カルロフ邸殺人事件 対応版】

今回はウィンドグレイス卿EDHの紹介です。《ウィンドグレイス卿》は統率者2018で登場した土地と相性の良い複数の能力を持つジャンドカラーのプレインズウォーカーです。ドローエンジンと土地の展開を兼ね備えたバランスの良い能力で、ランプやコントロール型の構築に向いている統率者です。

統率者解説

《ウィンドグレイス卿》は、2BRGの5マナ初期忠誠5の統率者として指定可能なプレインズウォーカーです。忠誠度能力は+2がルーティングで土地を捨てた場合は追加で1ドローできるドローエンジンとしての能力、-3が墓地から土地を2枚まで出す能力、-11の奥義が土地でないパーマネント6枚を破壊し、2/2の森渡りを持つトークンを6体生成する能力です。小マイナス能力がこのカードの特徴的な能力で、戦場に出す土地はタップインではない点、そして特殊地形も釣り上げることができる点が優秀です。《ウィンドグレイス卿》EDHでは、基本的にこの能力を軸に土地を活用したランプデッキやコントロールデッキを構築するのが一般的です。

《ウィンドグレイス卿》と特に相性の良いカードとして、上陸を持つカード群が挙げられます。例えば-3能力で《新緑の地下墓地》などのフェッチランドを2枚釣り上げることで、実質4回も上陸を誘発させることができます。これは《水蓮のコブラ》などと組み合わせればほぼ統率者をテンポロスなく着地させられますし、《進化の賢者》であれば-3能力を使いながら忠誠度カウンターをむしろ増やすことすらも可能です。

デッキリスト

今回のデッキリストは以下です。moxfieldでも公開しています。

https://www.moxfield.com/decks/R4gxdGbUx06qjWXMPgCumQ

— 統率者 1 —
《ウィンドグレイス卿》

— クリーチャー 15 —
《死儀礼のシャーマン》
《喜ぶハーフリング》
《ダウスィーの虚空歩き》
《オークの弓使い》
《波止場の恐喝者》
《溜め込み屋のアウフ》
《水蓮のコブラ》
《敵対工作員》
《迷える探求者、梓》
《イリーシア木立のドライアド》
《忍耐》
《進化の賢者》
《復活した精霊信者、ニッサ》
《ムル・ダヤの巫女》
《根の道の浄化師》

— インスタント 13 —
《吸血の教示者》
《紅蓮破》
《赤霊破》
《輪作》
《有毒の蘇生》
《夏の帳》
《俗世の教示者》
《突然の衰微》
《暗殺者の戦利品》
《偏向はたき》
《大ドルイドの魔除け》
《未知な領域》
《活性の力》


— ソーサリー 7 —
《伝国の玉璽》
《ギャンブル》
《緑の太陽の頂点》
《悪魔の教示者》
《破滅の終焉》
《壌土からの生命》
《風景の変容》


— エンチャント 6 —
《芽ぐみ》
《花の絨毯》
《踏査》
《繁茂》
《森の知恵》
《密室の温室の事件》

— アーティファクト 7 —
《宝石の睡蓮》
《魔力の墓所》
《モックス・ダイアモンド》
《太陽の指輪》
《呪われたトーテム像》
《倦怠の宝珠》
《世界の導管》

— プレインズウォーカー 3 —
《レンと六番》
《大いなる創造者、カーン》
《向上した精霊信者、ニッサ》

— バトル 1 —
《イコリアへの侵攻》

— 土地 47 —
《ドライアドの東屋》
《古えの墳墓》
《乾燥台地》
《Badlands》
《Bayou》
《爆発域》
《血の墓所》
《血染めのぬかるみ》
《ボジューカの沼》
《耐え抜くもの、母聖樹》
《魂の洞窟》
《真鍮の都》
《統率の塔》
《暗黒の深部》
《さびれた寺院》
《残響する深淵》
《風変わりな果樹園》
《寓話の小道》
《死者の原野》
《宝石の洞窟》
《Glacial Chasm》
《マナの合流点》
《湿地の干潟》
《イス卿の迷路》
《霧深い雨林》
《育成泥炭地》
《草むした墓》
《汚染された三角州》
《虹色の眺望》
《沸騰する小湖》
《冠雪の森》
《冠雪の山》
《冠雪の沼》
《踏み鳴らされる地》
《露天鉱床》
《Taiga》
《見捨てられたぬかるみ、竹沼》
《演劇の舞台》
《地底の遺体安置所》
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
《新緑の地下墓地》
《ヴェズーヴァ》
《不毛の大地》
《吹きさらしの荒野》
《樹木茂る山麓》
《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》

デッキ解説

デッキ図解
画像=EDH.JP

デッキを図解しました。今回のデッキは土地軸のコントロールデッキです。統率者の役割は+2能力によるドローエンジンと、-3能力によるランパンおよび上陸誘発です。統率者がプレインズウォーカーであることと、土地を軸とした構築であることを活かして、《呪われたトーテム像》や《倦怠の宝珠》などの強力なクリーチャーメタカードや、《溜め込み屋のアウフ》などの強力なアーティファクトメタカードを採用し、これらを駆使してゲームをコントロールしながら、最終的に《死者の原野》による大量のゾンビトークンを使って勝利することを目指します。

キーカードとなるカードとして《進化の賢者》があります。《進化の賢者》は上陸により増殖を行えるため、《ウィンドグレイス卿》の-3能力を継続的に使えるようになる他、1ターンに3〜5回は増殖することができるため、他に《レンと六番》などのPWが横にいれば、奥義を使うのに十分な忠誠度カウンターを一気に貯めることが可能です。このように非常に相性が良いカードであるため、《緑の太陽の頂点》などで積極的にアクセスしにいきたい1枚です。

個別カード解説

クリーチャーカード

  • 《イリーシア木立のドライアド》

《イリーシア木立のドライアド》は《踏査》と《虹色の前兆》を内蔵した優秀なシステムクリーチャーです。今回、リストの半分近くを土地が占めるため、土地の追加プレイ権を得る能力は非常に重宝します。

《虹色の前兆》能力もいくつかの役割を担っており、まず《暗黒の深部》のようなマナ能力を持たない土地をマナ源として使えるようになります。今回こういった特殊地形を多く採用しているため、《イリーシア木立のドライアド》が出ることでマナが伸びるということが頻繁にあります。さらに、フィニッシャーとしても採用している《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》とも非常に相性が良く、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》自身を山として数えられるようになるため、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発条件の達成に大きく貢献します。これにより、《イリーシア木立のドライアド》がいる状態で《風景の変容》を通せば、土地の枚数次第で一人くらいは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》で焼き切れる程度のダメージを稼ぐことが可能です。(土地が10枚あれば30点。《ヴェズーヴァ》などで《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をコピーすればその倍のダメージに。)

  • 《根の道の浄化師》

《根の道の浄化師》は自分の戦場とライブラリーの中の土地まで基本土地にできる珍しい能力を持つクリーチャーです。この能力が最も活躍するのは《寓話の小道》や《虹色の眺望》のような基本土地用のフェッチランドを使った時で、ライブラリのすべての土地が基本になっているため、これらのカードからあらゆる土地にアクセスできるようになります。これらの土地を《ウィンドグレイス卿》で釣り上げて使い回すことで、好き放題に土地をライブラリから出せるようになります。特に《虹色の眺望》から《ボジューカの沼》にアクセスするムーブは強力な墓地対策になります。

  • 《復活した精霊信者、ニッサ》

《復活した精霊信者、ニッサ》は《水蓮のコブラ》と同等の能力を持ち、さらに1ターンに2回目に誘発した際にはエルフかエレメンタルが出るまでライブラリの上からめくってそれを手札に加えるドローエンジンとしての能力まで持ちます。今回はエルフ・エレメンタルで採用しているカードは以下の通りで、大体いつきても嬉しいカードばかりです。

  • 《死儀礼のシャーマン》
  • 《忍耐》
  • 《進化の賢者》
  • 《ムル・ダヤの巫女》
  • 《根の道の浄化師》

フェッチランドや《輪作》などを活用すれば相手のターンにドロー能力を誘発させることも現実的なので、妨害札として《忍耐》を引き込める可能性があるのは嬉しいポイントです。

インスタントカード

  • 《大ドルイドの魔除け》

《大ドルイドの魔除け》は緑トリブルシンボルとコストが少し重いものの、インスタントで様々な強力な効果の選択肢が存在する優秀な呪文です。

1つ目の任意のクリーチャーや土地をサーチする効果は説明不要の強力さで、白くなくても使える《エラダムリーの呼び声》のような位置付けです。なお土地の場合は直接戦場に出せるため、《輪作》と同様に《ボジューカの沼》による墓地対策や《Glacial Chasm》による危機回避など様々な用途で活用できます。(土地はタップインな点は玉に瑕です。)

2つ目の一方的な格闘効果は、汎用的な除去手段として使えます。今回のリストではどうしてもこのカードで除去しなければいけないクリーチャーは存在しませんが、こちらもまず腐ることはない優秀なモードです。

3つ目の効果は対象のアーティファクトかエンチャントを追放するシンプルなものですが、3マナの緑単インスタントとしては追放除去は非常に貴重です。特に現在のカードプールでは《一つの指輪》という非常に強力な破壊不能のアーティファクトが存在するため、追放除去は非常に重宝します。

ソーサリーカード

  • 《ギャンブル》

《ギャンブル》は1マナにしてライブラリからなんでもカードをサーチできる強力なサーチカードです。デメリットである手札をランダムに捨てる効果があるため、不安定なところはあるものの、それを差し引いても十分すぎるほど強力です。序盤は素直に《魔力の墓所》や《波止場の恐喝者》などをサーチして捨てられないことを祈って使います。

それ以外の使い道として、土地や《壌土からの生命》などの落ちても問題がないカードをサーチすることもあります。この場合も《納墓》相当のパフォーマンスではあるため十分優秀です。

エンチャントカード

  • 《密室の温室の事件》

《密室の温室の事件》はシンプルな《踏査》と同等の土地の追加プレイ権を得るエンチャントですが、事件が解決した場合、土地・クリーチャー・エンチャントがライブラリトップからプレイできるようになる《未来予知》もどきのような能力を持ちます。《踏査》が優秀すぎるだけで土地の追加プレイ権を得る効果はたとえ4マナでも実用的なレベルで、今回のリストであれば事件の解決は容易なため、着地した次のターンから莫大なアドバンテージを稼ぎ出すことが可能です。

事件の欠点として解決するのが自分のエンドステップである点がありますが、一応《忍耐》と《オークの弓使い》は瞬速を持つクリーチャーであるため、《吸血の教示者》などで置けば相手ターンにもプレイすることが可能です。

アーティファクトカード

  • 《世界の導管》

《世界の導管》は4マナになった代わりにメリット能力を持った《世界のるつぼ》です。タップでの起動型能力は、このカードを唱えたターンには使えないため多少悠長ですが、毎ターン墓地からパーマネント呪文を唱えられる強力な能力です。これにより除去された《呪われたトーテム像》などのメタカードを置き直したり、こちらのキーカードとなるクリーチャーを釣り上げたりと用途は様々です。

プレインズウォーカーカード

  • 《大いなる創造者、カーン》

対戦相手だけアーティファクトの起動型能力を封じる強力な常在型能力を持つプレインズウォーカーです。常在型能力が強力な代わりに、+1も-2も忠誠度能力はそこまで強力ではありませんが、+1は相手の《魔力の墓所》などを破壊できるなど地味ながら嫌がらせができます。置物としてはプレインズウォーカーであるため、《活性の力》などが当たらない代わりに攻撃されて除去されてしまうリスクがあるカードですが、今回は統率者もプレインズウォーカーであるため、《Maze of Ith》などPWを守る手段を用意しているため、比較的維持しやすい点が魅力です。

土地カード

  • 《Maze of Ith》

《Maze of Ith》はタップするだけで攻撃状態のクリーチャーをアンタップして戦闘から取り除くことができる強力なコンバットメタカードです。《織り手のティムナ》のようなサボタージュ系の能力を持つクリーチャーに対する妨害はもちろん、今回は統率者がプレインズウォーカーであるため攻撃の的にされやすく、《Maze of Ith》は統率者を守る手段として要になるカードです。戦闘に参加するクリーチャーが多い卓であれば、《さびれた寺院》で再利用したり《ヴェズーヴァ》でコピーしたりして、統率者をなんとかして守り抜きます。

コンボ・ギミック解説

向上した精霊信者、ニッサ+成長の揺り篭、ヤヴィマヤ

《向上した精霊信者、ニッサ》の-7能力が森の枚数を参照することを利用した強力なパンプアップギミックです。

《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》はすべての土地に森を付与するため、《向上した精霊信者、ニッサ》の-7能力でパンプされる数値が土地の枚数分になります。《ウィンドグレイス卿》の-11能力で生成されるトークンと組み合わせることができれば、一度に全員のライフを削り切ることも可能なギミックです。なお、《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》は《イリーシア木立のドライアド》であっても成立します。

溶鉄の尖峰、ヴァラクート+イリーシア木立のドライアド+風景の変容

《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の能力の条件を容易に達成することで《風景の変容》で膨大なダメージを叩き出すコンボです。

《イリーシア木立のドライアド》がいれば自分のすべての土地を山として数えることができるため、都合5枚土地があれば《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の条件が達成されます。この状態で《風景の変容》から大量の土地を並べれば、一度に数十点のダメージを飛ばすことが可能です。対戦相手のライフを焼き切ることはできなくても、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の能力はクリーチャーも対象に取れるため、少なくとも対戦相手限定のクリーチャー全体除去くらいは成立するコンボです。また、《風景の変容》から《死者の原野》を合わせて戦場に出せば大量のクロックも同時に確保できるため、どのみちゲームを有利に展開することができるコンボです。

暗黒の深部+演劇の舞台

カードに乗っているカウンターがコピー可能な値ではないことを利用して、すぐに20/20飛行破壊不能のマリットレイジを出すコンボです。

《演劇の舞台》で《暗黒の深部》のコピーになることで《演劇の舞台》が氷カウンターが0個の《暗黒の深部》になるため、これをサクることで、即座にマリットレイジを出すことができます。なお《暗黒の深部》は伝説であるため、コピーした時点でレジェンダリールールに基づいてオリジナルの《暗黒の深部》を墓地に置く必要があります。

環境での位置付け

デッキパワーレベル

デッキパワーレベルは7です。土地軸のコントロールデッキとしてはドローと土地加速の両方が揃った安定感のある統率者であり、メタカードを駆使して様々なアーキタイプと渡り合うことができます。

相性の良いアーキタイプ

土地軸のアーキタイプはメタカードやカウンターを差し込みづらい特性があるため、土地に対して明確な回答を持たない低速なデッキとは相性が良いです。また、プレインズウォーカー統率者であるためクリーチャーの採用枚数が少ないデッキは比較的御しやすいと言えます。

EDH.JPで紹介したデッキの中だとウラブラスクEDHやパルンニヴミゼットEDHなどが該当します。

相性の悪いアーキタイプ

プレインズウォーカーを一瞬で除去できるだけのクリーチャーの物量を持つデッキはかなり厳しいです。また、墓地依存度が低く高速なターボコンボデッキも回答が少ないため苦手とします。

EDH.JPで紹介したデッキの中だとナジーラEDHや野生の心セルヴァラEDHが該当します。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回はジャンドカラーで土地を主体とした構築が人気の統率者であるウィンドグレイス卿EDHのデッキを紹介しました。近いアーキタイプである梓EDHと比べると、能力が自己完結しているためムーブが安定している点や、赤黒系の強力なサーチカードを採用できる点が優れているデッキでした。

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